学力は「遺伝の影響が50%」…それでも私たちに勉強が必要な理由

生物学が教える「君たちは何を学ぶか」
安藤 寿康 プロフィール

「私は『何を』学べばよいのか」を考えるヒント

ヒトは一個体ではあまりに弱い存在であるにもかかわらず、地上をすべてを支配すると錯覚するほどの強い種として、生物界に「君臨」できたのも、ひとえにヒトが個体学習に頼らず教育学習によって知識を共有できる種であったからではないのか。

これは教育学者としてはあまりに我田引水の、都合のよい解釈だと批判されるでしょう。あるいはきれいごとにすぎないと思われるかもしれません。

それでもいいのです。この考え方が間違っていたとしても、それが間違っていることを証明するために、「教育とはいったい何なのか」「教育は何のためにあるのか」「教育がうまくいくとは何がどうなることなのか」「それはそもそも教育できることなのか」「人間にとって教育とは何なのか」「教育をする人間とはそもそも何か」といった、根本的な問いに立ち返ることができます。

そしてその問いは、とりもなおさず、「私は何のために学ばねばならないのか」「私の人生にとって本当に教育によって学ばねばならないものは何なのか」という問いに答えるヒントを与えてくれます。

こんな思いを抱きながらこの本を書きました。そこには、ひょっとしたらたくさんの間違った考えが書かれているかもしれません。

たくさんの最近の科学的知見ーーそれは発達心理学、認知心理学、教育心理学、進化心理学、霊長類学、行動遺伝学、文化人類学、脳神経科学などーーに依拠していますが、それでも教育関係の学会で認められた考えではありません。その意味では確信犯的にフライングをしました。

反発や批判もあるでしょう。いや、むしろ反発や批判をしてほしいのです。そんなにすんなり受け止められる内容ではないはずだからです。厳しい現実に向かい合いながらも、生きる希望につながる、そんな考え方にチャレンジしたつもりです。

9/19(水)発売!