リーマン後10年で世界に溜まった「次の危機のマグマ」の実態

もし次が起こったら、日本は…?

次の危機につながるマグマが……

先週土曜日(9月15日)、世界を震撼させた、あのリーマン・ショックから10年の節目を迎えた。震源地だった米国が様変わりして過去最長の景気拡大を続けてけん引役を果たしており、足もとの世界経済は順調に見える。

しかし、次の危機を誘発しかねないマグマは蓄積されている。最も象徴的なのは、成長を伴わない過剰債務だ。国際金融協会(IIF)によると、全世界の債務残高は247兆ドル(約2京7000兆円)と10年前の1.5倍に膨らみ、借金漬けのリスクを増大させている。

これは、各国が異例の金融緩和や桁違いの財政出動で協調し、米国の住宅バブルの崩壊に端を発した経済・金融危機を、新たなバブル醸成で乗り越えた副作用である。

 

米国やEUの金融正常化が、アルゼンチンやトルコ、インドネシア、ブラジルなどの新興国を深刻な通貨危機に追い込みつつあるだけでなく、トランプ政権が各国に仕掛ける貿易戦争が世界経済を縮小に追い込むリスクも現実味を帯びる。そして、金融政策も財政政策も正常化できておらず、次の危機が起きたら立ち向かう余力が最も乏しいのが日本という現実もある。

リーマン・ショックの経過を振り返ると、2000年代半ばに、米国政府の持ち家振興政策を背景に、住宅バブルが生まれたことが起点だ。プライムレート(優遇金利)では融資を受けられない低所得者層を対象に、住宅向けのサブプライムローン貸し付けが急増、これらの債権を証券化した金融商品が粗製乱造され、その利回りの高さに着目した金融機関による投資ブームが起きたのだ。

だが、このバブルは長続きせず、2007年ごろ崩壊を始めた。身の丈を超える負債を抱え込んだ低所得者のローン返済が滞り、サブプライムローン債権入りの金融商品も続々とデフォルト。地方銀行を中心に金融機関が続々と危機に陥り。2008年は年初からの8カ月間に10地銀が破たんした。

あれよあれよという間に、危機は大手金融機関に飛び火した。全米5位の投資銀行だったベアー・スターンズが2008年3月に実質破綻。商業銀行大手JPモルガン・チェースによる救済買収を、ニューヨーク連銀が資金支援するという異常事態が勃発した。

市場関係者の間では、早くから「次はリーマンだ」と囁かれていたが、当時のブッシュ政権はレームダック化しており、世論の反発を恐れて「これ以上の公的救済はしない」と責任を放棄した。これで、命脈の尽きたリーマンは2008年9月15日に連邦破産法11条の適用を申請して破たんしたのだ。

リーマンが見捨てられた事実を見て、市場は本格的なパニックに陥った。世界最大の保険会社、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)はその日のうちに金融派生商品などの巨額損失で経営危機に陥り、米政府はわずか1日で方針を180度転換して救済に乗り出さざるを得なくなった。名門投資銀行のモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスも青息吐息だった。

米議会は翌10月、7000億ドル(80兆円弱)の公的資金を投入して経済・金融危機を封じ込める新法を可決し、大手金融機関への資金注入を実施した。

だが、時すでに遅く、リーマン・ショックは世界的な金融システムの動揺だけでなく、実体経済の深刻な停滞を招いた。

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