巨人のFAを見て思う…大金を手にすると人は力を抜くのかもしれない

大竹・野上・山口・陽岱鋼・片岡……
週刊現代 プロフィール

かつての広澤克実(ヤクルトから移籍)や江藤智(広島から移籍)らの例をあげるまでもなく、古巣では主力を担っていた選手が、巨人に移籍してから精彩を欠くという例は枚挙にいとまがない。

しかし、彼らが当時の球界を代表するような選手だったのに比べて、ここ数年の巨人の補強は、「その選手にそんなに出すのか」と首をかしげたくなるような例がとかく目につくのだ。

'13年のオフに獲得した大竹寛(元広島)、片岡治大(元西武)、'14年の相川亮二(元ヤクルト)……いずれの選手も、巨人に移籍して以降は、古巣にいたときの輝きをすっかり失ってしまった。

 

複数年契約で甘えが出る

それは、今シーズンから加入した野上亮磨(元西武)とゲレーロ(元中日)の両選手にも言えることだ。

西武時代、2回の2ケタ勝利を記録し、巨人でも先発ローテーションの一角を担うことを期待された野上は、現時点で4勝4敗、防御率4.96と低迷し、7月には中継ぎへと「降格」させられている。3年間で推定4億5000万円の契約を結んだ男の成績としては、あまりに物足りない。

そして、2年推定8億円という超大型契約で加入したゲレーロの惨状は、眼を覆うばかりだ。昨シーズン中日の主砲として本塁打王(35本)に輝いた打撃は鳴りを潜め、現時点で本塁打は14本、打点はわずか36と、期待されていた成績には遠く及ばない。

「プロ野球選手たるもの、現状より良い環境や年俸を用意してくれる球団に行きたいという意欲を原動力にして野球に取り組むのは当然のことです。しかし、巨人の場合は、提示する金額が選手の実績や実力からあまりにもかけ離れています。

そのうえ、たいてい複数年契約を結ぶから、活躍できなかったら即年俸を下げるという信賞必罰のメカニズムも働かない。これでは、選手の心に知らず知らずのうちに『まあ、この程度でいいや』という甘えが生まれて当然です」(野球評論家の江本孟紀氏)

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8月30日に開催された東京ドームでの試合、首位を走る広島と巨人の選手たちの意識の差を象徴するシーンがあった。

広島が5-2とリードして迎えた9回の表、2アウト一、三塁。打席に立ったのは約1年ぶりに4番に座る新井貴浩だった。

巨人の5番手、池田駿のボールを引っ掛けた打球はボテボテのセカンドゴロだったが、新井は一塁めがけて全力疾走。これがセカンド・山本泰寛のエラーを誘い、広島はダメ押しの1点を追加した。

「球場全体が大歓声にわきました。なにせ、41歳のベテランが、リードしている9回に全力疾走で得点をもぎ取ったんです。

球場に足を運んでくれているお客さんのためにも、必死になって『次の1点』を取りに行く。ああいうハングリーさが、今の広島を支えている。それに比べて、阿部(慎之助)や坂本(勇人)、長野(久義)といった巨人の主力選手たちが全力疾走をする姿は近頃まったく見かけません。

カープの選手たちからも『ああいうチームに負けるわけにはいかない』という声が聞こえてくるくらいです」(スポーツ紙・巨人担当記者)