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がん見落としが続出...検査をしたから安心というわけではなかった

どうやって判断すればいいのか

ベテランでも安心できない

これまでの「常識」が覆される事態が、全国で次々と起きている。

昨年8月30日、北九州市立医療センターで、60代(当時)の男性患者の肺がんを見落としていたことが発覚した。

この男性は、'15年4月に糖尿病の治療のため、同センターを訪れた。X線撮影、CT検査などを受けたところ、放射線科の医師は「肺がんの疑いがある」と「画像診断報告書」に記入。

しかし、この男性の主治医は、その報告書を見ていなかったというのだ。その後、男性は症状が悪化し、'16年3月に再度CT検査を受けたところ、ステージⅣの肺がんであることが発覚。同年10月に死亡した。

せっかく偶然、がんが見つかるチャンスがあったのに、みすみす、その機会を奪われてしまったのだ。

これだけではない。6月には千葉大医学部附属病院が、'13年以降、CT検査などを受けた30~80代の9人の患者のがんを見落としていたことを発表。そのうち2人は死亡した。

同6月には横浜市立大附属病院が、腎臓がんで亡くなった60代男性のCT画像の所見を、専門医と主治医の確認ミスで見落としていたことを発表。

7月には東京・杉並にある河北健診クリニックが、40代の女性の肺がんを3度にわたって見落としていたことが発覚した(女性は今年6月に死亡)。

このケースでは、女性はわざわざがん検診のために胸部X線検査を受けたのに、見落とされていたのだ。

こうしたがんの見落としは、病院が自ら発表しなければ、露見するものではない。まさに氷山の一角なのである。

日本医療機能評価機構によると、'17年9月までの約3年間でも、32件のがんの見落としが確認されているという。これらの多くは、主治医が、別の部位の画像のみ見ていたため、がんを見落とした。

あるいは、放射線科の専門医は画像診断報告書で指摘していたのに、主治医がそれを見ていなかったというケースばかりだ。日本医療機能評価機構の医療事故防止事業部の担当者が話す。

 

「画像検査の流れは以下の通りです。まず、主治医が画像検査を発注、放射線部が検査を実施し、画像を作成します。そして、その画像を元に主治医が患者に説明をします。並行して、放射線部は『画像診断報告書』を作成、主治医に提出します。

ところが、この報告書が主治医に届くのは翌日以降になることが多い。それで、主治医が報告書を確認するのを忘れる、というミスが起きていると考えられます」

翌日に届いたからといって、確認を忘れられてはたまったものではない。同担当者が続ける。

「これらのミスは医師の能力や経験不足が原因とは言えません。画像報告書を確認していなかった事例について、医師の経験年数ごとに人数を確認しましたが、どのカテゴリーにも満遍なく存在していた。

つまり、医療技術や現場経験とは関係がなく、どんな医療現場でも起こり得ると言えます」

せっかく検査を受けたのに、医師が画像を見ていない、報告書を読むことさえない。こんな許しがたい事態が、横行しているのだ。