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丸亀製麺・全国800店の味を1人で支える「麺匠」をご存じですか

それでも、店の個性が出る
小野 正誉 プロフィール

未経験でも「職人」になれる

各店舗に配属された新人社員やパートナーさんは、製麺担当になるとうどんのつくり方を一から教わります。

うどんはシンプルなだけに繊細。丸亀製麺では、小麦粉、塩、水の分量はその日の気温などに合わせて細かく調整されています。

配合以外は製麺機でやっているとはいえ、麺匠の藤本さんは妥協を許しません。

製麺担当者には、小麦粉の袋の開け方や、空になった袋の扱い方まで、基本的なことから丁寧に教えます。

よく、お菓子作りは計量が大事と言われますが、うどんづくりも同じです。一袋12. 5キロの小麦粉に対して、水と塩をきっちり計量し、塩と小麦粉は“一粒”まで、水は“一滴”まで、きっちり入れるのが大事なのだと、藤本さんは考えているのです。

一粒、一滴で味は変わらないだろうという人もいますが、そこはマインドの問題。いい加減なやり方ではおいしいうどんはできません。単に作業としてこなすのではなく、うどんとの向き合い方まで藤本さんは伝えているのです。

藤本さんいわく、うどんづくりで一番大切なことは「おいしいうどんをお客様に食べてもらいたい」という思い。丁寧につくればおいしくなるし、荒っぽくつくればまずくなります。つくり手の作業のひとつひとつが味に現れます。

セントラルキッチンでつくった料理を提供するチェーン店では、そこまで気を遣わなくても均一な品質なものを出せますが、丸亀製麺は店舗ごとに人の手で製麺しているので、どうしても味のばらつきが出てしまいます。

 

そのばらつきを減らし、よりおいしいうどんを提供するために考えたのが、2017年からスタートした「麺職人制度」です。

運がよければ、丸亀製麺に行ったとき、紺色の襟がついたユニフォームに紺色の帽子を被った「麺職人」に会えるかもしれません。

「麺職人」とは、全国の製麺担当者の中でも、とくに厳しいトレーニングを積んで丸亀製麺が目指すコシのあるおいしい麺を打つための技術を習得した製麺マスターです。

麺職人がいる店には「当店の『麺職人』は〇〇です。こだわりのうどんをお楽しみください」と書かれた看板が掲げられているので、ユニフォームの意味を知らないお客様でも「どんなおいしいうどんが食べられるのかな?」とワクワク感が高まります。

麺職人になるには、小麦粉や塩、水に関する知識から、おいしいうどんができるメカニズム、うどんづくりに欠かせない人の手で調整する感覚、茹で加減や茹で上がった麺の締め方など、うどんに関するあらゆることを習得してもらいます。

パートナー歴3年の石田義信さんは、元々はデスクワークをしていて飲食業は未経験でした。50代で丸亀製麺に入社して、うどんの奥深さに魅せられ麺職人になることを決意した一人です。

麺職人になってから、常連のお客様から「制服変わった?」と声をかけられ、いっそう気持ちが引き締まり、もっとおいしいうどんをお客様に食べて欲しいと思ったそうです。

石田さんが今まで以上の品質にするために工夫しているのが、茹で時間。マニュアルより少し長く茹でることで「モチモチ感」をより際立たせているそうです。