安心をうたう「毎月分配型投信」こんなクズ商品には手を出すな

老後の年金代わりにはなりません
荻原 博子 プロフィール

「タコ足配当」のカラクリ

「毎月分配型投信」は、設定当時の基準価額を下回っているものがほとんどです。

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QUICK資産運用研究所が、2016年10月に、1484本の「毎月分配型投信」について調べたところ、買って1年間保有し続けたとすると、8割の投信が分配金の半分以上を元本から削って支払う状況になっているということでした。

全額を元本から出しているものも2割(286本)あったそうです。タコが自らの足を食べる、いわゆる「タコ足」配当状態になっているということです。

そして驚くことに、この中で運用益だけで分配金をまかなえるのはたった2%(37本)。

16年10月までの1年間といえば、株価は前半がよく後半は悪かったけれど、1年で見るとそう悪いとは言えない年です。為替は円安気味で、海外投資の環境も悪くない。けれど、運用益だけでは分配金を捻出できないものがほとんどということは、分配金に問題があるとしか思えません。

例えば、1000万円預けて月々2万円の分配金が出る「毎月分配型投信」があったとします。年間24万円の分配金が出るので利回り2.4%(単純化するため税金などは考慮せず)。

ですから、2.4%以上で運用できれば、1000万円はそのままで24万円の分配金を出すことができます。30年たっても毎年ずっと2.4%なら、1000万円は目減りしません。そして、その間に2万円×12ヶ月×30年=720万円の分配金をもらいます。1000万円が1720万円になるということです。

 

では、これをもらわないで利回り2.4%で30年間運用していったらどうなるでしょう。なんと、30年後には1000万円が約2050万円になります。

つまり、本来は分配金を支払わずにこれも投資に組み込んでいった方が、330万円も増えるということ。逆にいうと、「毎月分配型投信」は、分配しなくてはならないために通常の投資信託よりも増えない構造になっているということです。

毎月決まった額を銀行に振り込まずに、増えたぶんを再投資にまわしていたら「グロソブ」の場合にはどうなっていたかというと、当初預けた1万円が、1万7000円ほどになっていました。

たぶん基準価額がどんどん下がり「グロソブ」離れが進んでいて純資産総額なども減っているので、「実は、分配金さえ出さなければ、『グロソブ』は良い成績をあげられるのだ」というところをアピールしたいのかもしれません。

ただ、「分配金があれば、年金代わりになるので安心です」と言われてこれを買った人にとっては、いまさら「分配金をもらわずに再投資していればこんなに増えたのに」と言われても後の祭り。たぶん、これだけ元本が減ってしまうと、いまさら分配金をもらわないコースに変えるという気力もないことでしょう。

特に、「グロソブ」の場合、投資金額に対する分配金の割合が高かったことが魅力だったために、怒りを感じている人も多いことでしょう。