安心をうたう「毎月分配型投信」こんなクズ商品には手を出すな

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荻原 博子 プロフィール

「債券」なら本当に安心?

「毎月分配型投信」にも様々な種類がありますが、投資初心者に人気なのが「リスクが大きい株ではなく、安定した利回りの高い海外の債券に投資しています」という商品。

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まさに、このアピールで6兆円もの資金を集めたのが、「毎月分配型投信」の元祖とも言える、国際投信投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)の「グローバル・ソブリン・オープン」(以下、「グロソブ」)です。

「グロソブ」は、OECD加盟中の各国の政府が発行する国債や政府機関債を組み入れた投資信託で、ムーディーズやスタンダード&プアーズなどの有名格付け会社がA以上の格付けをしている信用力が高い債券だけにしか投資しないというのがセールスポイントの商品。

投資先の国が破綻して債券が紙くずになってしまうというような心配がないということが強調され、販売されてきました。

「株と違って債券ならば確実に利息がつくので、安定運用できます」。こう聞くと、「そうか、株なんかよりも安定した運用ができるのだ」と思う方も多いでしょう。

ただ、ちょっと投資を知っている人だと、「でも、海外の債券で運用するということは、為替リスクがあるんじゃないの」と聞き返すことでしょう。

けれど、それに対しては、「為替変動はリスクコントロールされています」と切り返されます。通貨が相対的に高くなりそうならその通貨の組み入れ比率を引き上げ、通貨が相対的に下落しそうなら、その通貨の引き上げ比率を下げるというのです。

 

こう説明されると、たいていの人はよく意味がわからなくても、「ちゃんと為替の変動の影響を受けないようにしているのだ」と思ってしまう。

ただ、はっきり言って通貨が高くなるか安くなるかなどということは、プロでも予想できない。もし予想できるなら、投資は慈善事業でやっているのではありませんから、他人のお金の運用などせず、自分で投資して大金持ちになっているはずです。

しかも、この商品には、為替変動のリスクを避けるための為替ヘッジはついていません。為替ヘッジがあれば、ある程度までリスクコントロールできるかもしれませんが、これをつけるとそれだけコストがかかるのでつけていません。

この投資信託に当初1000万円をつぎ込んだ人は、売り出し直後に1200万円近くまで上がったのですが、3年で600万円台に落ちるという乱高下を経験しています。投資している債券は安定運用されているはずですから、これだけ価格が乱高下するというのは、為替のリスクをもろに受けたからだとしか考えられません。

つまり、「為替変動はリスクコントロールされています」という説明は嘘だったということです。