2018.09.27
# 丸亀製麺 # 飲食店

「丸亀製麺」が、あえて「セントラルキッチン」を作らない理由

「非効率」が感動をつくる
小野 正誉 プロフィール

目先の利益なんていらない

なぜなら、手づくり感をなくしてしまったら、丸亀製麺らしさがなくなってしまうから。

セントラルキッチンで作った麺を店内でゆでる程度では、できたてのうどんの風味を味わえませんし、うどん専門店でなくても食べられます。

そこに人がいる、その人は今、自分のうどんを作ってくれている。この臨場感がおいしさを高めているのだと、粟田社長はよく語っています。つまり、人のぬくもりを感じるような店をつくるという信念を貫けたからこそ、丸亀製麺はナンバー1になれたのです。

バブル崩壊以降、日本の多くの企業は効率や低コストを重視してきました。徹底的にムダを削り、人の代わりに機械を入れて、最小限のコストで利益を上げる。確かに、短期的には利益を出しやすい方法です。

しかし、行きすぎた効率化は人間味をなくします。

 

効率化を図るとみんな同じ店になりがちです。飲食店に限らず、スーパーやコンビニなども差別化を図るのが難しいのは、同じような商品を同じようなシステムで売っているからだと考えられます。

「料理屋と屏風は広げすぎると倒れる」という、吉兆の創業者の湯木貞一氏が残した言葉があります。

小さな店でも人気が出ると店を大きくし、さらに支店を増やしデパートに出店するうちに個性がなくなり、味が落ちてお客様は離れてしまいます。何とか挽回しようとコストダウンを図って効率化したり、値引きやメニューを減らしたりなどの対策を取ります。

そうするとさらに味が落ち、店に活気がなくなってお客様はますます離れてしまうのです。他の小さな店が話題を集めて台頭し、廃業に追い込まれるというケースもあるようです。

最近、予約してから数カ月待ち、数年待ちのスイーツやフライパン、オーダーメイドの靴屋などがクローズアップされています。一度に少量しか作らないので、決して効率的なビジネスとはいえません。それでも消費者から支持されるのは、手間暇をかけたほうが希少価値を生み、魅力を感じるからでしょう。

常にお客様の感動を追求すれば、非効率でも支持されるのです。丸亀製麺がこれらを実現できたのは目先の利益を追わず、他社との競争に明け暮れなかったからです。

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