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# 世界経済

リーマン後10年、次に起きそうな「考えたくもない危機」のシナリオ

アメリカがその引き金を引く

リーマンショックから10年、次の危機の「芽」

俗にリーマンショックと呼ばれた金融史のみならず世界史に刻まれる大事件が起きてから丸10年を迎えた。

2018年9月15日を境に、間違いなく世界経済・金融の在り方は様々な部分で変化を迫られており、その影響は現在進行中と言って良い。

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筆者も政府機関や国際機関の業務から金融市場の業務へ移ったのが2008年10月であり、まさに危機の事後処理と共に歩んできたのだが、自身に縁の深い日本や欧州が未だに危機対応から脱却できていないことから、「10年という月日もリーマンショックの傷を完全に癒すには至らなかった」という意味であまり安堵感はない。

しかし、基軸通貨を司るFRBが淡々と正常化プロセスを進めており、いよいよ「利上げの終点」と思しき中立金利到達も視野に入れ始めている。この点、米国(とりわけ金融政策)に関しては「もはや危機後ではない」という認識は確かにあるのだろう。

しかし、リーマンショックから10年が経過したこのタイミングで繰り返し受ける照会が「次のショックの『芽』はどこにあるのか」というものである。率直に言って気になる論点は複数あるが、やはり識者の間では世界の民間非金融部門の債務(以下、民間債務)が積み上がっているという事実を指摘する向きが多い。とりわけ、確かに公表データなどを見る限り、民間債務の中でも「新興国」の「企業部門」といったエリアに金融の不均衡が蓄積しているのではないかという疑いは抱かざるを得ない。

 

過去10年で世界の民間債務は目に見えて増加した。具体的には、国際決済銀行(BIS)のデータによれば世界全体の民間債務はリーマンショック直前となる2008年6月末の約84兆ドルから2017年12月末の約115兆ドルへ約40%近く増加している。

しかし、これを先進国と新興国の別に見ると、より目を引く事実が見えてくる。同期間の民間債務は先進国が約71兆ドルから約75兆へ約5%の増加にとどまっているのに対し、新興国は約13兆ドルから約40兆ドルへ実に約208%も増加している。

もちろん、経済規模がそれに応じて成長していれば大きな問題はないため、債務の絶対額に大きな意味を見出すべきではない。しかし、経済規模対比で見ても新興国の民間債務の増え方は尋常ではない。2008年6月末と2017年12月末を比較すると先進国は約172%から約168%へやや低下しているのに対し、新興国は約83%から約144%とこちらも大幅増加となっている。

結局世界のGDP対比で見た場合、約147%から約159%へ拡大しているわけだが、これは基本的に新興国の伸びにけん引されたものということになる。