自称「AIエンジニア」が大量発生しているヤバイ現実

AIを「使う」のと「作る」のは大違い
荻野 調 プロフィール

Googleはこの5月に、AIが人間に代わって電話をして、美容院やレストランを予約することが可能なAI、「Google Duplex」を公開した。そのデモではまるで人間同士が会話をしているようなやりとりが公開された。

AI「クライアントの依頼でカットの予約をしたい」
美容院「はい、少々お待ちください」
AI「はい」
美容院「何時がご希望ですか?」
AI「12時です」
美容院「ご要望は?」
AI「カットだけです」

などと、自然な会話が成り立っており拍手喝采を浴びた。

これはAIが会話の相手の意図まで理解していることを意味している。これは「自然言語解析」の最先端事例だが、このレベルの会話が可能なAIはまだ商用化していない。第一級AI企業のなかでもGoogleが自信をもって発表した、自然言語解析ができるAIということなのだ。

Appleの「Siri」やAmazonの「Alexa」もこの領域には達していないと考えられる。シリコンバレーの第一級のAI企業であっても、人間並みの「自然言語解析」はまだまだ難しいのである。

 

AIを開発できない日本のAI企業

しかし日本人が誤解しやすいのは、AIが今どの段階にきているかを理解せずにいることだ。

GoogleなどのAI企業はこうしたAIを構成する一部の機能やビッグデータを、すでにオープンソースとして公開したり、有料で販売しているために、それを利用しているだけの企業なら、あたかもAI開発の技術力があるように見えてしまう実態がある。

しかし他社APIを叩いているだけの企業は「ドラえもんの道具を使っているだけの企業」であり、そうした企業の中にはそもそもAIが何たるかの学術的知識・AIエンジンが出来ることできないことの理解・適切なエンジンを設計実装する技術をもっていないところが数多くある。ところがそうした企業のAIエンジニアも、オープンソースを利用して、「当社はAI開発が可能だ」と勘違いをしている人がいる。これも問題を大きくしている要因だ。

このように日本ではAI開発の発注者も、AIエンジニアを自称している人の中にも、AIの開発について、誤解にまみれている人が多い。これでは世界の第一級企業から日本がどんどん突き放されてしまうという危機感を感じるのは、私だけだろうか。