自称「AIエンジニア」が大量発生しているヤバイ現実

AIを「使う」のと「作る」のは大違い
荻野 調 プロフィール

ところがGoogleやFacebookは、過去の購買履歴や交友関係、その他、あらゆるビッグデータから、その人物の趣向性を読み取って広告を表示してくる。さらに最も自分たちにお金を落としてくれる広告、つまり単価の高い広告を選び出して表示するというように最適化されている。このレベルに達してくるとAIの力が必要だ。

つまりAIを使わなくても従来の統計処理で可能な範囲のものと、AIを使いこなすことで達成できるレベルのものがあるのだ。

実際にGoogleが使用しているAIの中身は非公開なので、ここからは推察の域を出ないが、たとえばGoogleのGmailで表示される広告は、その人がやり取りしているメールの中身から、ワードを拾い上げて統計処理したうえで、メールのやり取りをした人物同士の属性を見抜いているように見える。さらに同様の属性の人物たちをグルーピングして趣向性を読み取って、もっとも効果の高い広告が表示されている可能性が高い。たとえばメールで株式投資についてのやり取りが行われれば、すかさず証券会社の広告が表示される。

 

Facebookでも「友達」の属性やチャットでの会話から、その人の潜在的な欲望に沿った広告が表示されている。その人の基礎データに「既婚」とあり、その友達も同様で、それでもその友人がマッチングサービスを利用しているならば、本人に浮気癖がなかったとしても「マッチング会社」の広告が頻繁に表示されるといった具合である。

両社の広告表示の傾向を見れば、Facebookはユーザーのセグメンテーション(グループ化)にAIを含む技術を適用している一方、GoogleのAIはユーザーのセグメンテーションに加えて「言語理解」や「会話認識力」にまでAIを適用していることが推測できる。

〔photo〕iStock

Google HomeとAmazon Echoはなにをしているのか

こうした「言語理解」や「会話認識力」は、文字データだけでなく、音声データにも応用されている。音声認識力を持つAIが商品化されているのがGoogle HomeやAmazon Echoである。

Google Homeは「OK Google!電気をつけて」というだけで、電気のスイッチをつけてくれる。この時Google Homeの中ではマイクが音を拾ってSpeechToTextエンジンに音声データを送り、出てきたテキスト情報(文字化された話し言葉)が意図理解のエンジンにかけられて、「リビングの電気をつける」という挙動に近いことを判定し、実際のON指示をWifi経由で指令している。

人間のオーダーに応える力があるということはつまり「会話認識力」が備わっているということだ。しかし、これはGoogleのように世界の第一級のAI企業だからこそできることなのである。