自称「AIエンジニア」が大量発生しているヤバイ現実

AIを「使う」のと「作る」のは大違い
荻野 調 プロフィール

「ドラえもんを作れる会社か」という問い

まずAIを知るためには、身近な「AI企業」が何をやっているのか、またAI企業の善し悪しについて理解しなければならないだろう。

AIを「ドラえもん」に例えて説明しよう。

「ドラえもん」はまさに知能を持った近未来ロボットだ。世界のAI企業はまさにこのドラえもんを作り出そうとしていて、これが第一級のAI企業だ。たとえばGoogleやApple、Facebook、Amazon(通称GAFA)など、社内で用途に応じたAIを設計し改善改良してサービス化していく企業がそれにあたる。当社もベンチャー企業ながら金融データに特化した独自のAIエンジンを設計している会社になる。

また「ドラえもん」はたくさんの便利な道具をもっているが、このドラえもんの道具を作っている企業もある。これはAI企業としては第二級として位置づけられる。たとえば顔感情認識エンジンのAffectivaなどがこれにあたる。顔感情認識エンジンはMicrosoftやGoogleもAPIとしても提供しており、第一級のAI企業がドラえもんの道具を供給していることも多い。

一言で「AI企業」といったとき、グローバルの水準で「AI企業」と認められるのは、第二級までだ。

 

しかしこうした企業以外に、たとえば「ドラえもんの道具を〝使っている″だけ」の企業がある。Googleなどの第一級のAI企業がAPIで公開している上記のようなエンジンやビッグデータを使って、アプリケーションのみを実装している会社が道具を使っているだけの第三級に当たる。実態はごく普通のソフト開発会社だが、実はこうしたなかにも「我々はAI企業だ」と虚勢を張っている企業がある。

実は日本の金融機関の中には、「AI企業」の実力の違いが理解できずに、我々から見ればごく普通のSIerや開発会社にAI開発を任せているところがある。これでは成果は思ったように上がるはずがない。まずは付き合うべき「AI企業」を見抜く眼を養わなければならないのだ。

〔photo〕iStock

Google、FacebookのAIはなにがすごいのか

では世界的なAI企業が何をやっているのかを見てみよう。これが分かればAIでなければできないこと、あるいは同じAIであっても第一級のAI企業にしか開発できないことが理解できるだろう。

たとえばGoogleやFacebookの画面に表示される広告を例にとってみよう。サイトの画面上に現れる広告の表示は、たとえばその画面を見ている人物の過去の閲覧履歴をもとに表示する程度でよければ、何もAIを使う必要はない。「この人は以前、分譲マンションのサイトを見たから、今回もマンションの広告を出そう」ということであればAIでなくても、統計上の処理で可能だ。実際多くのレコメンデーションエンジンはこのような考え方で作られている。