突然のルピー下落…いったいなぜ⁉

貿易収支赤字ではあるけれど

最近、インド・ルピーの下落基調が明確になっている。年初来、対ドルの下落率は11%に達した。9月半ば、「インド経済の堅調な展開からすればルピーは売られ過ぎ」との見方から、相場が反発する場面も見られたものの、先行きを不安視する投資家は多い。ルピーの先行き不透明感は高まっている。

ルピー安の背景にあるのは、経常赤字への懸念だ。インドの経常赤字の増大が抑制されるか否かは、今後の為替レート動向に無視できない影響を与えるだろう。世界の政治・経済情勢を見渡すと、インドをはじめとする新興国金融市場の先行きは楽観できない。

 

経常赤字の増大とルピー安

経常収支とは、その国が海外と行う総合的な取引のバランス(収支)を示す経済指標である。経常収支が赤字であるということは、その国が海外から受け取る金額よりも、海外に支払う金額の方が多いということだ。言い換えれば、国内から海外に向かって資金が流れ出る状態にあるということである。

インドは経常赤字国だ。大きな要因は、貿易収支が赤字であることだ。つまり、輸入が輸出を上回っている。特に、国内で必要とされる原油の80%程度を輸入に依存していることが大きい。昨年半ば以降、原油価格は上昇してきた。それが、原油調達コスト増加を通した経常赤字の増加につながり、ルピー安が進んだ。

それに加え、米国の利上げの影響も軽視できない。2月以降は米金利に上昇圧力がかかり、新興国通貨への売り圧力が増大した。言い換えれば、世界的な低金利環境が支えた新興国への資金流入が細り、徐々に売りが増えたということだ。自国通貨安が進めば、輸入の際に支払う代金は増える。原油高と通貨安の負の連鎖から経常赤字増大への懸念が高まるという状況にインドは直面している。

すでにインド国内では、ガソリン価格をはじめモノの値段が引き上げられている。燃料価格上昇などに抗議して、インドでは野党を中心にモディ政権を批判するデモが起きている。経済の好調さを反映してインドの株式市場は堅調に推移してきたが、8月末を境に株価は下落に転じている。それもルピーの下落要因だ。

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