性暴力を受けた男性が被害を認識できない「根深い理由」

表面化する男たちの「#MeToo」
山口 修喜 プロフィール

欧米では、そのような失敗体験から新しいアプローチがどんどん出てきています。トラウマを受けるというのは、もちろん心に影響もありますが、体に影響されることです。

性被害にあった時に「体」が固まるように。体に影響があるので、体に働きかけるのが当然ですね。

例えばあなたが、歯がとても痛くて、歯医者に行ったとします。その時、歯医者が「痛いですね〜」「どこがどんな風に痛いですか?」などと共感と質問しかしなかったら、なんだこの医者は!って思いますよね。それと同じです。

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傾聴「だけ」では解決できない

過去の被害体験などが、嫌な「体」の感覚として出てきます。とても単純化して説明しますが、その嫌な体の感覚を出てこないように、体に働きかけると楽になっていきます。

私の所に来られるクライアントさんの多くは、「従来」の傾聴中心のカウンセリングを何年も、時には何十年も受けられて来られています。

皆さん同じように言われるのが「寄り添ってもらって嬉しかった。自分のことも理解できた。でも全然楽にならなかった」。これが傾聴中心のカウンセリングの限界です。

話すだけのカウンセリングは「体」に働きかけられません。傾聴することを否定している訳ではないです。時にとても大事なことです。ただ、傾聴「だけ」では解決できないということです。言語レベルのセッションだけでは限界があります。

まずは、男性女性という枠に囚われない、被害者への理解が日本でも啓発されることを願っています。それと同時に、カウンセリングというイメージが変わることも願っています。体に焦点を当てた、ソマティックなカウンセリングが必須だということを。

 
トラウマから効果的に回復するための方法を学ぶサイト
https://pomupomu.info/

*たとえば、アジア女性基金「高校生の性暴力被害実態調査」では性被害経験のある高校生男子が5~10人に1人いるとしている。法務省「犯罪白書」では強姦や強制わいせつの件数が確認できる。