性暴力を受けた男性が被害を認識できない「根深い理由」

表面化する男たちの「#MeToo」
山口 修喜 プロフィール

男性の性被害はなぜ認識しづらいのか

わかりやすく、過去の被害体験がフラッシュバックしてきて、感情が爆発すると、その影響だと感じやすいですよね。

ただ、人は記憶を脳の奥底にしまったり、嫌な感情を麻痺させたりできます。1日仕事をしていれば、何ともなかったりもします。

でも家に帰ってきてホッとすると、その過去の被害体験からくる「嫌な感覚」がもわっと出てくる。実はそれが過去の被害体験からきていると認識していることは稀です。

脅迫的に、お酒を飲んだり、趣味をやったり、スマホを見たりなどを「する」ことでその嫌な感覚を麻痺させる傾向もあります。リラックスできない、脅迫的に何かをし続ける人の中には、嫌な感覚を麻痺させていることが多いです。

その嫌な感覚は、過去に恥ずかしかったことかもしれないし、いじめられたことかもしれないし、性被害にあったことという可能性もあります。

特に男性の場合「性被害に遭うのは女性でしょ」という認識が強いので、このような傾向になることが多いのではないでしょうか。

 

男性が自分の性被害体験を認識しづらいもう一つの理由は、周りからも理解されないということがあります。

そもそも少年は被害体験を大人に相談することが少ないので、自分だけで止めておくと、被害体験だと認識しづらいです。相談したとしても「キモいことを言うな」とか「ゲイの道を教えてもらったな」とか理解不能なコメントが返ってきたりします。

例えば、私の男性のクライアントさんでも、学校で起こった性的ないじめを担任の先生に打ち明けた時に軽い感じで「そんなことは、ほどほどにしておけよ」みたいに言われた方もおられます。先生が「性被害」と認識してないのです。

わかりやすく殴られて、腫れていたらわかりやすいのですが、性的ないじめなどはそういう対応になることもあります。

さらに、加害者が女性の場合は3割ほどあるのですが、女性に加害されたと人に打ち明けても「ラッキーだったな」とか「お姉さんに教え込まれたな」とか言われてしまいます。その場合、被害と認識しなくなりますよね。

男性の性被害の特徴

さらには、男性の性被害の特徴としては、性的な混乱があります。加害者が男性だった場合、被害にあう少年の年齢が低ければ低いほど、初めての性的な体験だったりします。

そうすると、自分は男性に好かれているのか?自分はゲイなのか?女性を好きになるのが男性だよな?などの混乱に陥る場合も多いです。

例えば、暴力が当たり前の家で育つと、子供にとってはそれが普通だと思う。それが臨場感の高い現実だから。人生体験を積んでいく中、自分の家の悲惨さに気づいていく。