「ヘビが怖い!」の恐怖心が霊長類の進化に大きく関わっていた

酒席で絶対ウケるおもしろ雑学 蛇編
齋藤 海仁 プロフィール

名物マムシ料理の味やいかに?

そうこうしているうちにイベントの時間が来たので、「採毒室」へ移動した。この日は採毒と毒噴きが行われる予定になっていた。

最初は採毒だった。ガラスの向こうに白衣のスタッフが登場し、ケージを開けて取り出したヘビはハブ。鈎が付いた棒でしっかり頭を押さえ、そのやや後ろをつかんでメートルグラスのふちに上アゴを押し当てると黄色い液体がグラスのふちを伝った。

 

ヘビの口の開け方がすさまじい。ヘビとトカゲの違いの説明で聞いたように全開バリバリだ。しかも、本当にアゴが左右にも大きく開いている。こんなふうに口を開ける脊椎動物は確かに他にいないだろう。この大口こそヘビのアイデンティティ。一見の価値ありである。

ハブの採毒。牙から黄色い毒液が滴る

続いて毒噴きだ。主演はアカドクフキコブラ。クサリヘビ科のハブに比べると、やっぱり顔がかわいいな。そう思ってガラス越しに顔をのぞき込んだら、すかさず毒を噴かれた。しかも、目の位置に正確に毒液が飛んでくる。ひぇ〜。完璧な顔認識機能である。コブラが毒を噴くのは防御のためで、毒が相手の目に入ってもだえ苦しんでいる間に逃げるのだそうだ。

毒液を噴くアカドクフキコブラ

このあとは、アオダイショウにさわらせてもらったり、「熱帯蛇類温室」に展示されていた「世界最強の毒ヘビ」ブラックマンバを見たりした。だが、いかにブラックマンバが最強の毒ヘビとはいえ、一番怖い動物は明らかに人間だ。人間はなんでもする。どんなことでもする。毒ヘビだって食べちゃうんだから。

というわけで、ヘビ料理である。

包丁を振るうのはヘビ料理歴44年の名料理長だった。ヘビは天然8年ものの雌のマムシ。料理長はさすがに手慣れたもので、マムシを取り出すと、クリップで尻尾を留めて逆さ吊りにして腹を割き、血と心臓をグラスに取り分けた。次に皮を剥いで、ワタと卵をキレイに取って下ごしらえは終わり。

マムシ料理はハンバーグと姿焼きの2種類。まずは血と心臓を飲み干した。ほとんど生臭くなく、すんなり喉を通る。

ハンバーグと姿焼きの味付けは蒲焼き風の甘辛で、毒ヘビのマムシは肉が薄く、軟骨も残っているため、少し骨っぽいのが気になったものの味は悪くない。

特筆すべきはマムシの卵だった。それも孵化直前のやつだ。卵胎生のマムシの卵は、透明なゼリー状で、直径二センチくらいの楕円形の卵の中に、マッチ棒程の太さの子マムシが入っている。どこをどう見ても、食べるには勇気がいる見てくれだ。

ところが、これがうまいのなんの。最初、皿に載って出てきた時にはびびったけど、食べてみたら意外や意外。白身が甘くとろけるようで、ヘビ化した部分の歯ごたえもあり、実にうまい。きっと栄養たっぷりなんだろう。

マムシのフルコース。左側の丸っこいのが卵

料理長によれば、マムシよりもシマヘビのほうがおいしいらしい。マムシの旬は夏から秋で、それ以外はシマヘビを出すという。シマヘビは刺身もいけるそうだ。ヘビ嫌いの人もそうでない人も、ジャパンスネークセンターに来て、ヘビを見て、目と耳と舌でヘビを味わってみるべきですよ、これは。

ヘビ料理だけにちょっとヘビーかな? 手も足も出ない? 蛇足でしたか……。

ジャパンスネークセンター
群馬県太田市藪塚町3318
☎0277—78−5193
開館時間 3月~10月 9時~17時 11月~2月 9時~16時30分
休園日 毎週金曜日