日本中の会社で経理不足…実はいま「簿記3級」が驚くほど価値を持つ

AIにも置き換えられにくいんです
出口 知史 プロフィール

さらに、何か不正めいたものを見つけた場合、どう処分するかは、部門長や経営者が過去と将来も見据えて判断しています。義理人情を入れる判断をすることもあれば、逆に一刀両断することもあるでしょう。

そうした阿吽の呼吸(?)の余地を認めずに自動処理するべきだという意見もあるでしょうが、現実は、そうした機械的な処理は組織運営上やりにくいと捉える経営者が多いのではないでしょうか。

そうして手作業が少し減るくらいでは、結局は人手ゼロにはなりません。0.5人雇うということはできないからです。理想的には、経理処理をした後に残った0.5人分の力は他の業務を兼務してもらうのが良いのですが、そんな器用なハイレベルの人材は大企業に高給で囲われてしまっていて、中小企業までは回ってきません。

 

「できないかも」と恐れる必要はない

また、良し悪しはともかくとして、オーナー社長の会社では、法人と個人の財布の区別があいまいになっている会社も多いでしょう。帝国データバンクの2016年の調査によると、売り上げ10億円以下の会社で8割、1億円以下の会社では9割がオーナー社長だとあります。経理処理をかっちりされてしまうと、独立事業者として頑張っていく活力が失われると感じてしまうオーナー社長も一定程度いるでしょう。

国税庁による平成28年分の会社標本調査によると、過去最大に赤字が多かった平成21年分から7年連続で減少してもなお、法人のうち63.5%が赤字で(申告されていま)す。その割合が全てガチンコ(?)の赤字だとするならば、世の中はもっと荒んでいるのではないでしょうか。

裏を返せば、会計上は赤字にしているオーナー社長が一定割合いると考えるのが自然でしょう。そうした会社からすると、法律で定められでもしない限り、すべてを機械的に判断する自動処理のシステムを導入しないでしょう。

もちろん資格を取れば即現場での仕事ができるわけではありません。実務をこなすためにはそれなりの努力が必要です。しかし、最初は一部しかできなくても、顧問税理士がいれば最低限の処理をして、無事に申告を終えるところまではなんとかできるでしょう。

もっと言えば、そうできるように歴史の積み重ねで制度ができていると、楽観的に捉えてチャレンジすればいいと思います。

そうして業務を幅広く深く覚えていけば、受け入れてくれる中小企業は無尽蔵に広がるので、環境が嫌ならば、良いところを求めて探せるようにもなれます。置かれた環境を変えられるのは自分次第、応援しますと相談者にはお伝えしました。

読者の中で事務職での転職を考えている人は、簿記の勉強をはじめてみてはいかがでしょうか。