2018.09.16
# 人工知能

哲学者がAI失業論を喝破「AIではなく経営者が雇用を奪う」

多くの人が誤解していること
岡本 裕一朗 プロフィール

この状況であれば、たしかに「人工知能が人間の仕事を奪う」というフレーズは、当てはまりそうです。しかし、その意味は何とも曖昧ではないでしょうか。

なぜなら、そうした社会で、どんな制度が成立するか、問題になっていないからです。少なくとも、今の制度のまま「失業率75%」になったら、社会が破綻するに違いありません。

そこで、これまで問われなかったことを、あえて問題にしてみます。

 
【問題】
失業率75%の状況で、どのような社会が成立するのか?

この問いには、二つの答えが可能でしょう。

一つは、今まで通りの社会は成立しない、です。

なぜなら、失業者は物が購入できないので、生産しても物が売れなくなります。この状況で、失業する人々はどのように生きていくのでしょうか。

じっと耐え忍ぶとは思えません。暴動か革命が起きるでしょう。そうでなければ、飢えで死を待つのみでしょう。

〔PHOTO〕iStock

もう一つの可能性は、人工知能や機械が働くので、人間はもはや働く必要がなくなることです。

機械が生産するものを、人間は享受するだけでいい。下世話な言い方をすれば、働かなくても、食べていけるのです。

とすれば、こんなにいいことはありません。労働の苦役から解放され、しかも生活に必要なものが十分にあるのですから。

こう考えていくと、「人工知能による人間の失業」という扇動も、現時点で心配することはなさそうです。

なぜなら、前者のように、今の社会制度で成立しないならば、おそらく他の社会形態が出てくるはずですし、後者のように、働かなくても食っていけるならば、むしろ望ましいことだからです。

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