人口たった5000人の町が、21億円もの寄付を集めた秘策

小さく成功するビジネスモデルとは?
河合 雅司, 野田 聖子 プロフィール

ふるさと納税で自立する

――今話題に上った「ふるさと納税」については、いろいろと問題も指摘されていますが、どう展開していくお考えでしょうか。最近はクラウドファンディングを活用して地域での起業を支援する「ふるさと起業家支援プロジェクト」などもあって可能性が広がっていますが。

野田: 寄付を受けた側は集めたお金が何に使われているのかをきちっと見せ、寄付した人はこういうことに使ってくれるならいいなと納得する。そういうキャッチボールの中で堅実に育ってほしいと思っています。

成功した事例のひとつ、北海道の上士幌町に行ってきたんですよ。上士幌は限界集落といわれる人口5000人の町ですが、牛は6倍の3万頭もいる。その乳牛から搾った乳で作ったジェラートが爆発的な人気になりました。

最初は牧場のおばちゃんの作るジェラートがおいしいので、町長が「これを今度返礼品にするから作ってよ」ということで始まったんだそうです。それが舌の肥えた消費者に受けてどんどん売り上げが伸びていった。地元の手作りという返礼品のベストな形ですね。

その効果は直接お金が入るだけにとどまりません。まず自分の家の台所では生産が間に合わなくなって工場を造り、それでも足りなくなってもうひとつ工場を造っているうちに最初の工場の借金は返し終わる。ついにはショップも作って観光地になってと、好循環が生まれているんです。

その収入で町が何をしたかというと、普通はあれもこれもとばらまきになりがちなところを、条例を作って使用を子どものためだけに絞りました。すると預けて働く場所があるからとお母さんたちが引っ越してくるという、ここにも好循環が起きています。

今はミシガン州からアメリカ人の先生を呼んで、一流の英語教育も行っているそうで、上士幌には自分たちの力で自立したという達成感があると思いますね。

上士幌町の観光名所・タウシュベツ川橋梁(photo by iStock)

――上士幌町のケースは『地域人』でも紹介したことがあります。返礼品は他に牛肉などもあり、ふるさと納税を平成28年度には21億円も集めましたね。

野田: 連鎖というのでしょうか。人口5000人の小さな町でもできるんですよ。そういった地方の潜在的な力をみくびっているのではないかと思いますね。

河合: ヨーロッパにはおいしいものを中心にした町おこしの例がありますね。かつてはあまり特色もなかった村に一流シェフが腕前をふるう店があるのです。「有名なシェフが地方の小さな村にいる」というのが話題を呼ぶのでしょう。その料理を食べるためだけに人が訪れるというのです。

結果として近隣にコテージなどでがきて観光地に発展したんです。小さな村であればあるほど、そのギャップが面白いわけで、先ほどお話ししたことにもつながりますが、小さく成功するビジネスモデルは、地方のほうが成り立ちやすいです。

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