小さな町でも大きな事ができる(photo by iStock)

人口たった5000人の町が、21億円もの寄付を集めた秘策

小さく成功するビジネスモデルとは?
衆議院議員の野田聖子氏と、累計73万部超のベストセラー『未来の年表』シリーズ著者・河合雅司氏の対談は、ふるさと納税やマイナンバーカードまで広がってゆく――今月発売された『地域人』第37号(大正大学地域構想研究所編、大正大学出版会刊)から、ふたりの対談を特別に紹介する後編

前編はこちら⇒女性が子どもを産まないのは、静かなストライキかもしれない

「ファン人口」を増やす

――地方創生に貢献している「地域おこし協力隊」の今後についてはどうお考えですか。ここまでトライ&エラーでやってきたと思いますが。

野田: 地方で意外な化学反応を起こしているのかなと思っています。そもそも人手不足の自治体にワーキングホリデーのような形で若い人がお手伝いにいくというイメージがありましたが、それに乗ってきた若い人たちはやはり異色だと思うんですね。

何かしようと思ったら、多少軋轢(あつれき)があっても自分を貫くというような。旧来の市町村とそういう不思議な風来坊のように現れた若者との間に、いろいろな産物が生まれています。

最近びっくりしたのは、長野県泰阜村(やすおかむら)の「けもかわプロジェクト」。鹿を捕らえたら肉をジビエ料理にというのはあると思うのですが、その女性は皮をなめしてバッグや財布を作っているんだそうです。

これは協力隊に期待していなかったことですよね。結果として住み着く人、河合先生によれば「関係人口」も増えています。

河合: 「関係人口」はぜひとも増えてほしいですね。私はこれを「ファン人口」と名付けたのですが、移住した「定住人口」でも観光に来た「交流人口」でもなく、何らかの縁があってファンになった地域といろいろな形で関わる人を指します。ふるさと納税の寄付者などもあてはまります。

地域おこし協力隊や官僚などが一定の枠で地方に出向いていく仕組みも大事ですが、「なんだかその町が好きだから」というような理由でもいいので、自発的に出かけることが大事だと思うんですよ。

そこに出かければ、自分の居場所や役割があるとか、待っていてくれる誰かがいて楽しいという関わり方が、もっと広がってほしいですね。

野田: 地域おこし協力隊や関係人口の強みはしがらみがないということですよね。どうしても地方はしがらみがあるからそこで育った人は言いたいことが言えなくなっていますが、よそから来る人にはそれがないから言いたいことが言える。

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河合: 地域を活性化させるのは「よそ者、若者、馬鹿者」と言いますね。

野田: 協力隊は最近ヴァージョンアップして若者だけでなくシニア層まで広がっているんですよ。地方の中小企業は後継者不足で悩んでいます。そこで事業承継を協力隊がサポートしようということになったんです。

田舎の会社を継いでもいいよという、経験のあるまだ元気な中高年の方に協力隊として行ってもらい、任期終了後は移住して事業を継承してもらう。いいアイデアでしょう。

河合: 事業の継承が地方創生に及ぼす効果は大きいですね。都会にいて働くところがないという人と、働き手不足が深刻な地方とのマッチングがもっと進めばいいと思います。人口減少社会では、大きな会社、大きな組織のほうがよいとは限りません。

これからは少量生産ながら付加価値の高いものを作っていくことが重要になります。それこそが、日本の成功の種なんです。それは東京より、地方のほうがずっとやりやすいと思います。

野田: 大量生産大量消費の時代は終わっていますからね。地方にはまだいろいろなポテンシャルがありますよ。

河合: その強みに地方の人々が気づいていない。

野田: そうそう。

河合: 大臣、考えが合いますね。

野田: 前世は双子だったのかも(笑)。