実録・私大医学部入試で横行する「多浪生差別」その驚くべき内実

異様に厳しい面接を実況中継
小林 公夫 プロフィール

Q. オプジーボというとても高価な薬がある。このような高価な薬についてどう考えるか?

A. 新しい効果的な治療薬が高価になってしまうのは、アメリカを中心とした資本主義が根本的な原因にあると思う。もちろん研究費もかかるしお金が必要なのは仕方がない。ただ幅広く患者が利益を被れるよう国が何らかの方策を考えるべきだ。我が国は高い技術を持っているのだから、国が力を入れて良い薬を世界に発信していくことも大切だ。

 

国立大学医学部には合格したのに

ここまでのやり取りに触れ、かなり難度の高い質問が浴びせられていることがお分かり頂けるであろう。しかしながらこの後は更に、高度な質問が続く。

「少し話がややこしくなったので2択にする。高価な医療費を国が負担することは、憲法が規定する人権保障に含まれるか」

なかなか本質的な質問である。4浪生が「含まれる。がんに苦しみながらの生活は必要最低限の生活の基準を充足していないからだ」と答えると、「では、あなたはがんに苦しむ高齢者のために、毎月10万円の保険料を負担することになってもいいのか」と突っ込まれている。そして、その質問との関連で、

「持続可能な発展について、あなたは高校時代にどのようなことを学んだか」

と問われ、面接は終了している。

勘のいい読者はお気付きのことと思うが、これは所謂、圧迫的な面接試験である。また、まず冒頭で多浪生が最も触れて欲しくない「浪人期間」に関する質問を浴びせ、反応を見ているようにも思われる。多くの多浪生はこの種の質問に動揺し萎えてしまうであろう。

ところが、戸惑う暇もなくその後は、カナダのMMI(Multiple Mini Interview、複数の多様な質問を浴びせる面接手法)に似た、明確に答えのない質問が集中砲火の如く続いているのだ。

4浪生の回答は、このレベルで即答できていれば健闘したといえるだろう。しかし、その年、国立の医学部に合格した彼は当該大学には不合格であった。補欠のナンバーは200番ほどで、例年の動きからは決して繰り上げ合格になることのない順位を付けられていた。

一方、身近な聞き取り調査によれば、現役、1浪、2浪組は、医師志望理由や高校時代の部活動の質問が中心でさらりと終わってしまったようだ。

(つづく)