実録・私大医学部入試で横行する「多浪生差別」その驚くべき内実

異様に厳しい面接を実況中継
小林 公夫 プロフィール

0%、0%、0%、1%…

私のこれまでの経験則からすると、再受験生が常に絶望的な立場にあるわけではない。しかしながら、彼が受験を志望している大学の本年の状況を精査すると、楽観視できないのも事実のようだ。

ひとくくりに22歳以上といっても様々な属性の受験生がいるであろう。純粋に浪人を続けている者、大学に在学中の者、1度大学を卒業した学士、長期の留学を経て帰国した者、様々である。

しかし、文科省の報道発表資料によると、目を疑いたくなるような数字が並んでいる。私は、教え子とともに、彼が志望する大学の22歳以上の合格者割合をひとつひとつ精査していった。だが、今年のデータに限って言うならば、いわゆる旧設医科大学で首都圏の人気校は、どこも22歳以上の受験生には厳しいように感じられた。

慶應義塾大学医学部0%、順天堂大学医学部0%、昭和大学医学部0%と、ゼロ行進が続く。東京医科大学、東京慈恵会医科大学、日本大学、東邦大学、日本医科大学に至り、ようやくそれぞれ1%、1%、1%、1%、2%と数値が現れるが、普通に考えると、猛烈な難度の高さである。

 

慶應義塾大学医学部のように、22歳以上の男子受験生の母数自体がそもそも73名というのは比較的少数である。だが、母数が数百名にのぼる大学もある。日本大学は617名に対し合格者が7名、日本医科大学は452名に対し8名であり、自ずと難度の高さが感じられる。体育館にいっぱいの人をイメージしてみよう。その中で、10人に満たない合格者がいるという現実である。

この現象は一体どうして起こるのか。そもそも彼らは一次試験で不合格となっているのか、それとも年を重ねている分、学科はかろうじて通過しているのか。そして、よしんば一次試験を通過しても、二次試験の面接・小論文で厳しい烙印を押されているのであろうか。

どの段階での選抜かは、資料からは見て取れない。ここは重要である。各大学に資料が残るのであればお尋ねしたいポイントである。

4浪生が体験した面接の一部始終

医学部の良識を私は信じたい。しかしながら、二次試験について言及するならば、「招かれざる受験生」を排除するシステムも少なからず存在するのではないかと考えている。

上で述べた旧設医科大学には含まれていないが、関東圏の某私立大学医学部の2次試験を私の教え子(4浪生)が受験した時の話である。

面接の待合室には、何列にも分かれ受験生が着席していた。縦に10数人は座れる列の中で、私の教え子はただ1人、受験番号を呼ばれ「君、こちらに」と合図されたという。

本人は、これは吉か凶かどちらかだと直感した。自らを指差して「えっ⁉︎ 僕1人だけ?」とあたりを見回した。観察すると、受験生はいくつかの面接室に類型化され、呼び出されているように思われた。

彼の場合は、吉とは言えぬ面接室であった。