山崎賢人のような医師も実在!ドラマ『グッド・ドクター』のリアル

過酷だけど大切な小児医療の現実
折原 みと プロフィール

夏美先生の台詞は小児科医の真髄

児童虐待、患者のたらいまわし、10代の出産、大人になった患者の恋愛や妊娠問題、患者の家族の苦悩……。『グッド・ドクター』では、小児医療の現場で医師が直面する様々な問題が丁寧に描かれているが、私がこのドラマの中で一番好きなのは、第8話で湊の指導医・夏美先生が言ったこの台詞だ。

私たち小児外科医は、子供の命を救うだけじゃない。その未来も預かってるの。病気を乗り越えた子供たちが、少しでもよりよい生活を送れるようにって導いてあげることは、とっても大切なことなのよ」

私が長野県立こども病院で取材させていただいていた時も、どの先生方も実際にこういう言葉を口にされていた。これこそが、小児医療の真髄だ。

上野樹里演じる夏美先生は、こんな先生に診てもらいたいと思わされる小児外科医だ ドラマ『グッド・ドクター』より

同病院の小児外科部長、高見澤滋先生は、世界的にも救命例の少ない難しい手術を手掛ける「ゴットハンド」的な小児外科医だが、「切って終わり」というわけではなく、その後の患者さんのケアにも熱心に取り組んでいる。

小児外科で扱うのは、手術で完全に治る病気ばかりではない。例えば胃ろう(口から食物、水分を補給することが難しい場合に、胃壁と腹壁に穴を開けチューブから直接胃に栄養剤などを注入する)やストーマ(人工肛門)を作っても、患者さんは一生病気と付き合っていかなければならない。こども病院の小児外科では、胃ろう外来でミキサー食の指導をしたり、皮膚・排泄ケア外来で相談にのったりと、子供たちが大人になるまでずっと寄り添いサポートしている。

 

病気は、患者さんひとりじゃなく、そのまわりにいるご家族や、我々医師、みんなで向き合っていくもの

これも夏美先生の台詞だが、小児医療現場のスピリットを的確に表現していると思う。

もちろん、病院で患者さんを支えているのは医師だけではない。看護師さんをはじめ、たくさんの医療スタッフが働いている。病気だけじゃなく、心も診ることが大事。患者さんだけじゃなく、ご家族のことも支えていく。多くの問題点を抱えながらも、子供たちの命と未来を守るために、スタッフみんなが力を尽くしている。それが、小児医療の現場なのだ。

ドラマの中で夏美先生が語るような言葉を、折原さんは実際取材の中で何度も聞いたという ©折原みと『天使のいる場所 Dr.ぴよこの研修ノート』7巻より

ドラマ『グッド・ドクター』は9月13日に最終回を迎える。新堂湊先生の夢は叶うのか? 東郷総合病院は生き残ることができるのか? 小児外科はどうなるのか? 楽しみに見届けたい。
 
ドラマの中の医師たちは、決して架空の理想像ではない。このドラマをキッカケに、現実にいる「グッド・ドクター」たちの存在に目を向けてもらいたいと思う。