ドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ)より

山崎賢人のような医師も実在!ドラマ『グッド・ドクター』のリアル

過酷だけど大切な小児医療の現実

漫画家で小説家の折原みとさんは、ドラマ大好きでかなり詳しい。今期の連続ドラマは録画も入れて10本近く見ているというが、特に小児外科を舞台とした『グッド・ドクター』は一押しのひとつだという。折原さんは漫画家として、日本有数のこども病院として知られる「長野県立こども病院」を長年取材し、漫画を描いてきた。その折原さんの目から見ても、このドラマは設定や台詞にリアリティがあり、だからこそ物語に説得力がある。そして、現在の小児医療をめぐる様々な問題点がしっかりと描かれている、という。

『グッド・ドクター』/フジテレビ

「すべての子供を大人にしたい」

今期、フジテレビで放送中の医療ドラマ『グッド・ドクター』が、かなりいい! 韓国ドラマのリメイクだそうだが、とても丁寧に、真摯に作られた意欲作だ。

主人公の新堂湊(山崎賢人)は、先天的に自閉症スペクトラム障害とサヴァン症候群を併せ持つ青年だ。コミュニケーション能力に問題があるものの、驚異的な記憶力を持ち、医大を首席で卒業、医師国家試験に合格した。そんな湊が、研修医として大病院の小児外科にやってくる所から物語は始まる。

 

湊は子どもの頃に、最大の理解者であった兄を事故で亡くしており、小児外科医になって「すべての子供を大人にしたい」という強い思いを持っている。だが、コミュニケーション障害を持つ湊に、周囲は戸惑いと不信感を抱かずにはいられない。同僚の医師や看護師、患者、患者の家族も、最初は湊に偏見や嫌悪の目を向けるが、子供たちの命を救うために奮闘し、成長していく彼のひたむきな姿は、次第に周囲の人たちを変えていくのだ。

何せ、主役の山崎賢人くんがめっぽう役にハマっている。「国宝級イケメン」とも呼ばれ、漫画原作のティーン向けキラキラ映画の主演を一手に引き受けてきた感のある彼が、今までのイメージを覆すような自閉症の青年役を体当たりで演じている。そのキョドキョドした仕草や表情、目の動きが上手い。そして、たまらなくピュアで愛らしい。少女漫画の主人公そのもののようなビジュアルが人気だった山崎くんは、今作で「イケメン王子」の殻を破り、役者として大きく飛躍したように見える。

撮影の前後も山崎賢人は子供たちとやり取りをしていたという ドラマ『グッド・ドクター』より

湊に振り回され頭を悩ませながらも、温かく彼を見守り、自分も成長していく指導医の夏美(上野樹里)。自閉症の弟を亡くした過去の傷から湊にキツく当たるが、次第に心を開いていく優秀な小児外科医の高山(藤木直人)。自分の出世や保身しか考えていない小児外科長の間宮(戸次重幸)。湊を見下し、厄介者扱いする同僚の若手医師たち。

湊を取り巻くキャラクターたちは、それぞれ立場や態度を異にしながらも、心の奥には「子供たちを助けたい」という同じ思いを抱いている。だからこそ、湊に対する偏見は、いつしか対等な仲間意識へと変わって行くのだ。

ドラマのような本当の「グッド・ドクター」たち

実は、かつて私も、小児科の研修医を主人公にした漫画を描いたことがある。2007年から2010年までの3年半にわたって、講談社の「ザ、デザート」という少女漫画誌で連載していた『天使のいる場所~Dr.ぴよこの研修ノート』。こども病院を舞台に、ヘタレなひよっこ研修医「ぴよこ先生」の成長を通して、小児医療の現場を描いた作品だ。

「こども病院」というのは、新生児から中学校卒業程度までの小児を対象に(施設によっては胎児や妊産婦も含む)診療を行う病院だ。名称は様々だが、こういった小児専門病院は、全国に30数ヵ所ある。私が取材でお世話になったのは、長野県安曇野市にある長野県立こども病院だ。もう10年程前のことだが、今でも病院のスタッフの方たちや、当時取材させていただいた患者さんのご家族とはお付き合いが続いている。それほどに、私にとってこども病院は、大切で大好きな場所なのだ。なぜなら、そこには本当に、ドラマと同じように熱い想いを持った「グッド・ドクター」たちがいるから……。