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LINE Payの知られざる野望「メガバンク化構想」の全貌

覇権争いを制して、その先の世界へ
田中 道昭 プロフィール

強敵アマゾンと楽天に、LINE Payが勝てる理由

アマゾンがQRコード決済参入を発表した記者会見は、記者たちの熱気にあふれていた。世界規模でECサイトを展開しているアマゾンが、その資本力にものを言わせてECサイトと連動するペイメントサービスを展開するのだから無理もない。

日本国内に大規模な会員を抱えていることも、一日の長がある。なにしろ買い物だけでなく、その支払いをアマゾンが提供する決済に集約すれば、顧客はポイントの面でかなり優遇されることになるからだ。

 

楽天も同様だ。支払いをすべて楽天の決済サービスに集約されれば、ポイントが何重にもついてくる。アマゾンも楽天もそのサービスをECサイトにとどめずに、リアル店舗に広げていくために、このQR決済でしのぎを削ろうとしているのだ。

こうしてみてみればLINE Payは、充実した自前のECサイトを持っていない分、遅れをとっているかのように感じてしまう。しかし筆者の見方は逆である。LINEの強みはコミュニケーションアプリを持っていること。実はこのことが、アマゾンや楽天のECサイトを凌駕する可能性があるキラーコンテンツなのだ。

実際にコミュニケーションアプリがQRコード決済市場で有効に働いたのが、いまやキャッシュレス大国に変貌した中国である。

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中国のQRコード決済市場は2雄に分かれている。ご存知の方も多いだろうが、一つはECサイトを運営するアリババの「アリペイ」、もう一つはコミュニケーションアプリのウィーチャットを運営するテンセントの「ウィーチャットペイ」である。この2強体制が構築されたプロセスは、日本の先行指標といえるものだ。

アリババは04年にアリペイを創設し、ECサイトの会員を中心に、ユーザーを広げていった。それはまさに誰もが予想した規定路線だった。一方でウィーチャットペイはアリペイから9年も遅い13年にサービスを開始し、かなり後発でQRコード決済に進出した。

当初は便利さにおいてアリペイにかなわないと考える専門家もいたが、結果は逆だった。ウィーチャットペイもアリペイをしのぐ勢いで浸透し、いまや会員数は両者拮抗しているのである。

ECと連動し、充実した買い物機能がついているアリペイをウィーチャットペイが猛追できたのは、コミュニケーションアプリに連動していることが大きい。ウィーチャットペイを閲覧する頻度は、ECサイトやアプリを閲覧頻度とは数段違いの数になるからだ。