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習近平の「アフリカ制圧」が米中貿易戦争に与える巨大なインパクト

「中国アフリカフォーラム」最大の目的

習近平政権の「巻き返し」

7月6日以降、米中貿易戦争でトランプ大統領に押し込まれっ放しだった習近平主席が、9月に入って「反敗為勝」(巻き返し)の外交攻勢に出ている。

その第1弾は、9月3日、4日に北京で行われた「中国アフリカ協力フォーラム北京サミット」である。これは、今年の中国外交「4大イベント」の3番目となるもので、アフリカ53ヵ国の首脳らが、北京に勢揃いした。

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このサミットは、日本が1993年から5年おきに行っているTICAD(アフリカ開発会議)をマネて、さらに巨大化させたものだ。中国は2000年から3年おきに、中国とアフリカで交互に開いてきた。

私は2006年11月の第3回大会の時に取材に行ったことがある。その時は、約40ヵ国のアフリカ各国首脳が勢揃いし、当時の胡錦濤主席が、アフリカ連合(AU)本部庁舎ビルの建設をブチ上げたのには仰天した。

だがその後、中国は本当に実現してしまった!

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2億ドルの建設費を、丸ごと提供したのだ。そして2012年1月、エチオピアの首都アディスアベバに、本部ビルが完成した。地上面積13.2万㎡、20階建てで、高さはアフリカ連合を結成した1999年9月9日にちなんで、99.9mにした。2550人が一堂に会すことができる大会議場、681人が座れる中会議場、700人が働けるフロアを始めとする41部屋のオフィスルーム……。

建設は、約1000人の中国人労働者が、2年半かけて請け負った。つまり、アフリカ人はまったく関わっていない。内部も、建築材料から同時通訳用ヘッドフォンに至るまで、「メイド・イン・チャイナ」である。「中国の援助」を誇示するためか、すべての館内表示は英語と中国語の2ヵ国表示になっていて、しかも中国語の方が英語よりも上側に表記されている。

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2012年1月28日に行われた「引き渡し式」では、当時の中国共産党序列4位の贾慶林中国人民政治協商会議主席が、金ピカの巨大なカギを、アフリカ連合の首脳たちに渡していた。中国はこういったことを、国交を持つアフリカ53ヵ国で展開しているのである。まさに“チャイナフリカ”だ。

 

2006年に私が垣間見た中国アフリカ協力フォーラムも、一言で言うと「何でもあり」の会議だった。ある国の指導者(独裁者?)が、一族郎党プラス愛人一家などまで引き連れてこようが、当時の太っ腹の胡錦濤政権は、すべて面倒見た。かつ、希望者には人間ドックまで無料で提供し、大好評だった。もっとも、これは指導者の健康状態という「最高機密」を手に入れられるのだから、中国とて不足はないだろう。

ただ、その時感じたのは、おそらくアフリカ人にとっては、日本人よりも中国人の方が、親近感が湧くだろうなということだった。大ざっぱ感というか、意識の緩さというのが、中国人の方が、アフリカ人と波長が近いのである。逆に日本人は、清潔感がありすぎたり、パンクチュアルでありすぎたりして、アフリカ人とは互いに無理があるなという気がした。

ともあれ、いまは「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)をユーラシア大陸ばかりでなく、アフリカ大陸まで浸透させようという習近平時代である。アフリカに対する気合いの入り方も、胡錦濤時代以上のものがある。

中国人がアフリカでいったい何をやっているのか。それを手っ取り早く知るには、アフリカに関する中国最大のサイトである「アフリカ中国人論壇」(非洲華人論壇)を覗いてみるのがよいかもしれない。

http://chineseinafrica.com/portal.php

このサイトを見ると、中国はすでにアフリカ大陸全体の血脈となっていることが分かる。チャイナフリカという言葉は、まったく大袈裟ではないのだ。

そうした中国の「アフリカ関与」(中国は「新植民地主義」といった言葉を嫌悪する)の集大成とも言えるのが、今回のサミットだった。

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