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24時間の環境管理…スマートハウスが人間の「快適さ」を激変させる

「環境のデトックス」が必要になる
「スマートハウス」は、24時間住宅の環境を「最適」な状態に管理してくれる、極めて便利な装置だ。しかし、そうした環境に住むことによって私たちの「快適さ」は変化せざるを得ない。建築家として住宅やオフィスを設計してきた著者が、新しいタイプの住宅の登場による人間の感覚の変容を考える。

政府は今年度予算で、「HEMS(ヘムス)」を導入した省エネ住宅に対する補助金を62億円計上した。

HEMSとはHome Energy Management System の略。家に備え付けられた太陽光発電や蓄電池、エアコンなどの家電をすべてひっくるめて総合的にコントロールしてくれるシステムのことをいう。巷では、このHEMSのついた住宅のことを「スマートハウス」と呼んでいる。

知らぬ間に節電させられている家

このシステムは私たちの生活や行動にどんな変化をもたらすのだろうか。

私たちは今まで、月に一度の請求書でしか家庭の消費電力を知る機会がなく、生活の中で、具体的な数値をもとに、リアルに節電をイメージすることが難しかった。

また住宅の家電は、使用者がその時々の感覚に基づいて個別に操作しているため、無駄が多かった。例えば、エアコンで冷やした空気が換気扇で必要以上に排気されていたり、室内に陽が差し込む明るい時間に照明がつきっぱなしになっていたり…といった具合だ。

 

しかし、スマートハウスに設置されたHEMSのモニターを覗くと、今この瞬間に住宅で発電したり消費している電力、そしてその差に伴い売り買いしている電力をリアルタイムで確認することができる。

そのため、これまで具体的にイメージしづらかった節電が、生活にまつわるリアルなトピックとなり、無理なく節電することができる。いわば自分の生活のある側面が数値によって「見える化」され、行動が変化するのである。

また、システムがエアコンの稼働に合わせて最低限の換気をしたり、部屋の日射しを感知して照明の明るさを調節するなど、室内外の状況を感知しながら家電を一体的に制御し、無駄なエネルギー消費を抑えてくれる。

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環境や健康まで管理する

近い将来には、スマートハウスが外部にあるサーバーとネット接続し、AIやビックデータを活用することで、さらに便利なサービスが提供されるだろう。

例えば、リビングのエアコンが感知した室温と、脈拍計が測定した起床時の血圧•脈拍をサーバーに送り、AIがビッグデータに含まれる人体や環境に関する様々な情報と照らし合わせる。その上で利用者にとって最適な室温を自動設定したり、病気の兆候を事前に察知し、ヘルスケア情報を住まい手に届けるといったSFじみた状況が実現されようとしている。

また発電や蓄電が可能なスマートハウスたちをネット上で接続し、電気が余っている家から足りない家へのやりくりを自動的にコントロールすることで、家を発電所のように機能させようという構想まである。