一瀬社長は、新しいことを考えるのが好きだという。アイデアは次々に湧いてくる。仕事のアイデアが頭の中で形作られてくると、それをやる価値があるかどうかを真剣に考える。やってみて初めてわかることがたくさんある。
「山に登れば、景色が変わる。山の向こうが見えてくる」
何度も挑戦を繰り返し、その結果、会社の業態力としての、収益の柱になっているものがいくつもある。
現状に決して満足せずに、常にチャレンジし続けること。それが、会社を成功させる原動力になるのだろう。
「商売って言うのは、自分さえよければ人はどうでもいいって考えでは絶対にダメなんですよ。『大義』を持たないとね」と、一瀬社長は言う。
「大義」とはコトバンクによると「人として守るべき道義。また、重要な意義。大切な事柄」という意味だ。
社長にとっての「大義」とは、「美味しいステーキをたくさんの人に食べてほしい」「お客様に喜んでほしい」ということ。それは小さな町のレストランの料理人だったころから何10年も変わらない。その「大義」をブレずに守り続け、「そのためにはどうしたら稼げるのか」を考え続けてきたからこそ、今があるのだろう。
成功するためには「大義」を持つこと。それは飲食店に限らずビジネスにおいて、シンプルだが必須の条件だ。
人生の先輩に対してこういういい方は失礼かもしれないが、一瀬社長はとても「チャーミング」な方だ。
フットワークが軽く若々しい。時折、好奇心いっぱいで面白いことが大好きな、男の子のような表情を見せる。社員との距離も近く、仲の良い若手社員とプライベートで飲んだり遊びに行ったりすることもよくあるそうだ。「日本で一番、社長と社員の距離が近い会社」と笑う。
先日、テレビで『坂上&指原のつぶれない店』を見ていたら、「いきなり!ステーキ」が取り上げられており、社員が社長のことを「クレイジー」とか「非常識のカタマリ」と評していた。臆せずそんなことが言えるのも、風通しがいい証拠だろう。
社員の方たちは社長にもちろん敬意を払いながらも、「何をしでかすか分からないいたずらっ子を、ドキドキワクワクしながら見守っている」ようにも見える。
もしかしたら、完璧で隙のない、ただ畏怖されるばかりの社長よりも、強いリーダーシップをとりながらも、破天荒で無邪気で憎めない社長の方が、社員は「この人のために働きたい」と思うものかもしれない。
ビジネスとは、人と人とのつながりや信頼によって成り立つものだ。だとしたら、結局、経営者として成功するために重要なのは、人間的魅力。人から好かれる「人間力」こそが、最も大事な条件なのではないだろうか?
この「飲食店経営者として成功するための10ヵ条」は、「飲食店経営者」「会社経営者」のみならず、どんな仕事や人生にも応用できることだと思う。少しでも、読んでくださったみなさまのお役に立てれば幸いです!