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飲食店業日本初ナスダック上場!「いきなりステーキ」成功の10ヵ条

海外上場果たした秘密を社長に直撃
折原 みと プロフィール

 5. 自分の非を認めて謝れる人間であること

 かつて、ふたつの大きな事件がペッパーフードサービスを揺るがした。ひとつは、フランチャイズ店の店長とバイト店員による暴行事件。もうひとつは、O-157による食中毒事件。いずれの時も対応は早く、謝罪会見では、社長自ら誠意を尽くして頭を下げた。
 
会社経営には果てないリスクが伴う。しかし、何か問題があった時に、トップがきちんと謝って責任をとれるか否かで、企業の価値は大きく左右される。潔く非を認め、誠意を持って謝れる人間であることは、経営者として重要なことだ。
 
社員に対しても、社長はよく謝るという。

「君子日々三転す」という言葉があるが、新しい情報が入ってくれば、朝と昼と夕方とで、社員への指示が変わってしまうこともある。そんな時にも、部下に責任転嫁はしない。「あの時はそう言った、間違いない。でもあれから状況が変わって、変更したほうがいいと思ったんだ」と、ちゃんと認めて説明する。素直に謝れるトップは、部下からの信頼も得られるのだ。

 

6. 思いついたら即行動すること

 今回の一瀬社長のインタビュー中に、とても印象的なことがあった。私はこのインタビューの前に「いきなり!ステーキ」銀座四丁目店で昼食をとっていたのだが、そのときトイレに入ると、便座にポチポチと、前に入った方の汚れが残っていた。忙しいランチタイムに、お客がトイレに入る度に店員が掃除をすることは難しいだろう。直前の人の汚れは仕方ない。

が、私もカフェをやっていた経験があるからわかるが、そういう事実は、黙っているより伝えたほうが店のためになるのだ。トイレの件をやんわりお伝えすると、社長はすぐにスマホを取り出し、ボイスレコーダーに向かって話し始めた。

「銀座店、今日1時から2時ごろ、トイレが汚かった。折原さんが言ってた」
 
一瞬呆気にとられたが、このことを翌朝の朝礼で従業員に共有することで、全店のトイレがキレイになるのだという。驚きのフットワークの軽さだ。

クレームには即対応、思い立ったらすぐ行動。この即断即決の実行力が、一瀬社長の原点であり、飲食店経営を成功させる秘訣なのだろう。

7. 新しいものに貪欲であること

御年75歳の一瀬社長は、スマホやタブレットを仕事で最大限に有効活用している。失礼ながら、同年代のなかには、スマホを使うことさえ敷居が高いという方もいるだろう。しかし社長は新しいツールも軽々と使いこなしている。
 
前回の記事に詳しく書いた、日本の飲食店の厨房に電磁調理器を普及させたパイオニア精神は健在だ。今も、新しいシステムやアプリなどをどんどん開発し、導入している。
成功する経営者というのは、年齢に関係なく好奇心旺盛で、新しいものに貪欲な人なのかもしれない。

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