太陽光発電普及のウラで見えてきた「環境規制」の盲点

クリーンエネルギーとはいうけれど

「自然に優しい太陽光発電」…?

「クリーンエネルギー」の代名詞として持て囃される太陽光発電。確かに火力や原子力のように燃料を使わず、燦々と降り注ぐ太陽光を電力に変えるというのは、環境によいイメージを抱きやすい。

だが実際は、資産価値がないとされた山林を安値で購入し、無残に伐採、太陽光発電所という「投資商品」にして、高値で売却するというスキームが一般化している。実際、太陽光発電所の設置された現場を歩けば、火力発電所に比べて二酸化炭素を出さないのだとしても、ここまで森林を伐採することがほんとうに自然環境に良いのだろうか、という疑問がわいてくる。

例:発電所の為に伐採された山 17年1月筆者撮影

森林には、地下に張った根によって土壌に水が貯留されることと、葉から水が蒸散することにより、降雨により河川に流れる水の量を保つという「保水能力」がある。これがハゲ山となれば、大雨が降ると大量の水が斜面を流れる上、地盤が緩くなっている為に土砂崩れが起こりやすくなる。7月の「西日本豪雨」で、山間部の太陽光発電所が崩落する事故が相次いだのはこのためである。

(崩落した太陽光発電所:産経新聞:2018.7.27 16:40【西日本豪雨】太陽光発電所12カ所被災 1府4県 感電恐れ、注意呼び掛け
https://www.sankei.com/west/photos/180727/wst1807270048-p1.html

こうした太陽光発電所の“負の側面”を重く見たのだろうか。環境省は今年7月から、火力発電所や風・水力発電所を造成する際に求めていた法令に基づく環境影響評価(環境アセスメント)を行う義務を、太陽光発電所にも拡張することの検討を開始したと発表した。

 

これまで太陽光発電所の開発についての環境アセスメントは、各自治体の条例で定められており、一般的に開発する森林の規模が75ヘクタール以上になる太陽光発電所を造成する場合、環境アセスメントを行わなければならない、とされてきた。

自治体の条例に基づく環境アセスメントは1年程度の期間で済むが、国の法令の環境アセスメントの場合、その審査にかかる期間は2~3年を要する厳しいものになるという。

大規模な太陽光発電所の造成を手掛ける業者は、まず予定地を買い上げ、自治体の林地開発許可が下りたのちに森林を伐採、パネルを敷設して電力会社と系統連系し、それを売却してイグジットする、という手順を取る。もし環境アセスがいままで以上に厳しくなり、長引くことになれば、その間の金利負担が増え、発電所の売却価格に影響を及ぼすリスクが増えることになるだろう。

そのような負担を嫌ったのか、規制強化の流れと時を同じくして、巧妙な「環境アセス逃れ」とも受け取れるような事態が起こっていることが分かった。