ブラックアウトはなぜ起きた?北海道電力が抱える「脆弱性」の本質

他の電力会社とは全く状況が違う

未曾有の「全道ブラックアウト」

9月6日未明に北海道胆振地方で大規模な地震(最大震度7)が発生した。山崩れ、液状化現象などによって30名以上が亡くなり、行方不明者、怪我人、またこれらによって避難されている人も多数に及ぶ。

筆者自身も1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災の時には神戸市長田区に居住しており、電力、ガス、上水、下水などの基盤インフラが失われ、避難を余儀なくされた経験を持つ。その点からも、今回の地震での被災状況に、ある種のフラッシュバック的な思いを抱いている。被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、一日も早く、平常の生活が戻ることを祈らずにはいられない。

さて、このたびの地震で、震源地近くに立地する北海道電力苫東厚真火力発電所が被災した。当時の発電量の半分近くの電力に相当する1、2、4号の3機合計165万kWもの電力が一瞬のうちに失われ、系統の他の発電所も発電設備保護のために順次停止し、北海道全体が停電、いわゆる「ブラックアウト」状態に追い込まれた。

その後、水力発電所や被災しなかった火力発電所などが順次再稼働をはたし、この原稿を執筆している8日の時点で、おおよそ99%の地域が停電状態から脱したとのニュースが流れた。しかしながら北電最大の発電所である苫東厚真が再稼働するまでは、泊原発の再稼働が見渡せない状況の中で、復旧したとは言えないだろう。

このようなブラックアウトの前例としては1977年のニューヨーク大停電が有名であるが、日本でこれほど広範囲・長期間にわたり発生したのはおそらく初めてであろう。本稿では、このような未曾有の事態に立ち至った背景要因などについて考えてみたい。

 

北海道電力は「孤立」している

北海道電力は、電力10社の中でも規模がかなり小さく、発電最大出力で見れば781万kWと、四国電力の578万kWより少し大きく、北陸電力の808万kWより少し小さい。

本州・四国・九州に位置する他の電力会社の管轄区域間は交流線で連携が取られ、特に50Hz領域ではけた外れに大きい東京電力、60Hz領域でも中部電力、関西電力の巨大な電力網が整備されており、一部の発電所が送電を停止しても、容易にブラックアウトにはならない。

北電と東北電力の間では海底ケーブル「北本連系線」によって電力の融通が可能になっている。しかし、今回のようなブラックアウトが起きればいかんともしがたい。長距離の交流送電はロスが大きいため、北本連系が直流送電で行われていたこと、主として予備電力不足対応であったことなども指摘できる。つまり北海道の電力供給は、危機事象に対して「事実上孤立している」と考えてよいだろう。

そうした状況の中で、北海道最大の火力発電所である苫東厚真火力発電所が地震で損壊、停止したことでブラックアウトが引き起こされた。同発電所ではボイラー配管からの蒸気漏れ、タービンからの出火があったという。

下表は、北電の各火力発電所の出力、燃料の種類、運転開始年、2018年までの経過年数を示したものだ。共同火力を除く現有火力設備の出力と完成(運開)年を見ると、北電では出力が小さい発電所が大部分で、しかも最も新しい苫東厚真の4号機でも運転開始は2002年と、すでに16年が経過している。古いものでは奈井江のように完成から50年に及ぶものもあり(来年3月に運転休止予定)、30年以上経過したものが大部分である。

当然ながら、経年劣化は免れない。北電の「電気事業をめぐる状況について」(平成30年5月)によれば,停止・出力抑制発生件数は2010年で52件、次いで2011年度68件、2012年度86件、2013年度67件、2014年度85件、2015年度109件、2016年度82件、2017年度84件と増加傾向にある。

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