失敗する貯蓄のパターンでよくあるのが、「お金を貯めたいので、できるだけ無駄使いしないようにして銀行口座にお金を残していこうとすること」です。
それができるのは、忙しすぎてお金を使う暇もない人や、家計のコントロールがとても上手なごく一部の人だけ、と言ってもよいでしょう。
多くの人は、貯めるつもりのお金をいつまでも銀行口座にそのままにしておけば、一時的に口座の残高が増えたとしても、お金が貯まってきているという気の緩みから、いつの間にか使ってしまうケースが目立ちます。
長期休暇での旅行代や自分へのご褒美としての買い物、不意の出費など、お金を使う定番の理由はいくらでもあるものです。そもそも残ったら貯蓄をしようと思っていても、なかなかお金が残ることはありません。
この方法でお金が順調に貯まっていく人は、とても少ないのです。
やはり貯蓄は、収入から先に貯めたい分を取り分けて、残ったお金でやりくりするのが正しい方法です。
この方法を「先取り貯蓄」と言います。
○ 収入-貯蓄=支出
× 収入-支出=貯蓄
先取り貯蓄ができる商品は、なんといっても王道の、銀行の自動積立。
「給与の振込口座」から、「将来使うお金の貯蓄用口座」へ、自動的に毎月お金が移動するように設定しましょう。貯蓄初心者は、まずはここから始めます。
さて、ここからは応用編です。貯蓄を運用してより効率よく増やしていきたいと思っている方は、じっくりと読んでみてください。
先取り貯蓄として利用できるものには、年金保険や学資保険、終身保険など、貯蓄性のある保険を使って積み立てる方法、財形貯蓄、投資信託の積立など意外とたくさんの金融商品があります。
勤務先独自の制度として、銀行より多少高い金利がつく社内預金や年数%の奨励金がつく持ち株の仕組みを持つところもあります。
最近はNISAやiDeCoのように、税制面で優遇が受けられる制度も登場して関心を集めています。
これだけ数があると、どれを使って貯めればよいか迷いますね。
実際のご相談の場面でも、何をいくらぐらいどういう使い方で利用すればよいか質問をうけることがしばしばです。
もちろんお金を預けるなら、「たくさん利息が付いて」「元本が保証されていて」「いつでも引き出せるもの」がいいに決まっていますが、今の世の中、そんなおいしい金融商品はありません。
万が一、そんなことを言って近づいてくる人がいたら、間違いなく詐欺にあっていると思ってよいでしょう。