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受注額を1000倍にした「印刷会社の営業部長」の他利精神

「プロ顧問」のあせらない交際術
齋藤 利勝 プロフィール

「他利」の精神で相手に尽くす

私がプロフェッショナル顧問として活動を続けるために最も大切だと考えていることをお伝えします。

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それは「他利」の精神です。

これは、相手の立場を慮る、まず相手の利益を考えるという心です。一般的には「利他」という言葉を使いますが、私は利益の「利」が前に出る「利他」よりも、相手を意味する「他」を先に置く重要性を意識して「他利」としています。

自分の利益を前面に出そうとする利己的な人は、顧問という職業には向いていません。

私はサラリーマン時代から、ビジネスに必要なのは、この「他利」の精神だと思ってきました。そう考えるようになったのは、私がSONYに在籍していた頃の出来事がきっかけです。

当時私は、ある印刷会社にイベントで配布するポケットティッシュの制作をお願いしていました。

 

イベント当日に会場まで直接納品してもらうようになっていたのですが、実はその日、ティッシュを配るアルバイトが思うように雇えず、イベント担当の社員自らが慌ただしくティッシュを配っていました。

すると、納品に来た印刷会社の営業部長さんが、当然のように会場でティッシュ配りを手伝ってくれたのです。

納品さえすれば印刷会社の仕事は終わりです。一緒にティッシュを配る義務はまったくありません。けれど、人手が足りずに困っていることに気が付いた部長さんは、一緒になって配ってくれたのです。

当時、私たちからその印刷会社に発注している印刷物の売り上げは10万円くらいのものでした。その印刷会社にとって、私たちは特別大きなクライアントだったわけではありません。けれど、こちらの困っている状況を見て、何のためらいもなく助けてくれた。他利の精神による対応だったと思います。

私はその一件ですっかりその営業部長さんを信頼しました。ほんの些細なことですが、そこまでしてくれる業者さんにそれまで出会ったことがなかったのです。

その出来事から3年後には、こちらからその印刷会社への発注金額は億単位になっていました。私はこんなに相手の立場に立ってくれる人となら、もっと一緒にビジネスをしたいと思ったのです。

実際に、その会社は営業部長さんだけでなく、若い社員にまで相手の立場に立つ姿勢が浸透していて、本当にいい会社でした。