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地方銀行の9割は再編? テクノロジーが業界をガラリと変える

個人との接点をいかに強化するかが鍵
泉田 良輔 プロフィール

これが地方銀行の行く末だ

仮に地方銀行がFinTechを十分に活用しきれず、競合銀行や異業種に個人預金が流出したとする。その場合のシミュレーションをしてみよう。

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地方銀行は個人預金を調達し、法人に貸出をしている。したがって、(以下の表で言う)クラウド型の法人向け貸出の事業規模を維持するのが困難となる。

また、クラウド型は当然ながらテクノロジーによってこれから競争が一層厳しくなる。ICTに強みを持った企業が大量のデータを処理し、そのデータをもとにして、リスクプロファイルの分析とともに貸出を実行するようなケースも出てくる可能性が高い。

生き残れるのはICTに競争優位を持つ企業か、ICT投資に資金を回すことのできる銀行だけだ。その点で、地方銀行はICTに優位性があるだろうか。また、その投資に耐えられるのだろうか。

そうなると、地方銀行の選択肢はプライベートバンク型と投資銀行型しかなくなる。これは、現在の大きなアセットを抱えるモデル(アセット・ヘビー・モデル)から、アセットをそれほど抱えないモデル(アセット・ライト・モデル)に移行することを意味する

しかし、投資銀行型は、グローバルに展開する貸出先企業に合わせて海外拠点を拡大させていかなければならず、また間接金融だけではない直接金融の仕組みも提案できるような体制が必要である。人材や証券といった金融機能を考えると、多くの地方銀行にとってはこれも難しい。

 

つまり、ほとんどの地方銀行は、最終的にプライベートバンク型へと大きく転換を迫られることになるだろう。プライベートバンク型は、顧客の資産を預金として運用するだけではなく、日本であれば不動産やさまざまな金融商品に精通する必要がある。地方銀行はこうした人材と機能を用意していかなければならない。

個人の預金比率が高い地方銀行から見れば、FinTechは、「それを活用して、いかに自分たちの抱えている個人預金を守り切れるか」という守りのツールとして活用しなければならないはずだ。

そうでなければ、預金が減少することは避けられず、その程度がひどい場合にはこれまでの貸出規模を大きく縮小させなければならない。銀行業としてコアにすべき領域も精査し直さなければならないのだ。