世耕弘成経済産業相〔PHOTO〕gettyimages

2時間会議で14行の記録…経産省「個別発言は記録不要」の実態

法の趣旨と運用が離れすぎている

経産省「打合せ記録」問題の実態

経済産業省が、省内外での打合せ等の記録を作成する際、個別の発言まで記録する必要がないと省内で周知をしていたことが明らかになり、問題になっている。

2017年12月に公文書管理法の実施指針にもなっている行政文書管理ガイドラインが改正され、各行政機関には、政策立案や事務事業の実施方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録の作成が義務づけられた。

この内容を反映した各省庁の行政文書管理規則の改正が行われ、今年の4月から施行されている。

この改正内容には、政策立案等に影響を及ぼす打合せ等の記録の作成を義務づけること、文書の正確性を確保するための手順として、文書は複数職員に加えて文書管理者(課長級)の確認が必要であること、打合せの記録の場合は、発言の相手方にその内容の確認を原則として求めることが含まれている。

これは、例えば、加計学園問題では「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと内閣府幹部が発言したとする文科省文書が明らかになったが、これを発言した幹部に確認する手順を踏むということだ。

この件では、発言がなかったと内閣府は否定しているわけだが、こうした微妙な発言を相手方に確認するとなれば、そもそも最初から打合せ記録に残さないのではないか、差し障りのない「きれいな記録」だけが残され、記録の内容が薄くなるのではないかが懸念として指摘されてきた。

今回、明らかになった経産省の内部資料は、この改正内容の周知のためのものだ。

周知の際の会議では、口頭で「誰が何と言ったかわからないよう、議事録は残してはいけない」「官房副長官以上のレクチャーでは議事録を作成しないように」と幹部から指示があったとも報道され、懸念したことが現実になっていると言わざるを得ない。

 

報道があった8月30日の菅内閣官房長官の会見では、経産省の運用には問題がないとの見解が示され、9月4日午前には、世耕経済産業大臣も会見で運用上の問題はないとの認識を示した。

しかし、4日に行われた野党合同ヒアリングで、経産省情報システム厚生課長が内部文書の記載内容の見直しを検討すると説明し、批判を受けてこれまで問題ないとしてきた姿勢を修正しつつある。

打合せの記録の作成を義務づけ、文書の正確性の確保措置の手順を設けたガイドライン改正は、加計学園問題を受けたものだ。

文科省文書の政府的な教訓は、簡単に言えば文科省職員が不正確な文書を勝手に作成していた上に、個人メモのはずが共有フォルダに保存してあって行政文書になっていたから、あんなに問題になってしまった、ということだ。