2018.09.20
# 実物資産 # 金 # 量的緩和

世界を覆う「マネーの増殖」から資産を守るための冴えたやり方

「実物投資」があなたを救う
田中 徹郎 プロフィール

リーマン・ショック後のマネーの流れを知る

今後のことを考えるときには、まず過去に学ぶことが重要です。そこで、ここ10年間で起きたことを少し振り返ってみましょう。

思えば、マネーの世界ではいろんなことがありました。アメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが破綻したのがちょうど10年前、2008年9月のこと。当時は100年に一度の金融危機といわれ、世界各国の政府や中央銀行は、危機回避のためにできる限りの手を打ちました。

政府がとった対策の一つは財政出動です。リーマン・ショック以降急速に落ち込む景気を持ち上げるため、日米欧や中国の当局は大規模な景気対策を行いました。大手金融機関の破綻を回避するために行った巨額の資金注入も、その一つでした。

これに対して各国の中央銀行も、前例のない政策を打ち出して危機を回避しようとしました。その一つはゼロ金利政策です。金利を下げれば、企業はお金を借りやすくなります。お金を借りた会社はその借りたお金で設備を導入したり、商品を仕入れたりできますので、循環的に経済活動が活発になるという効果があります。

一方で、個人はどうでしょう。金利が低くなると例えば住宅ローンの金利が下がりますし、自動車など高額商品を買う際のローンも組みやすくなります。このように金利を低く誘導することによって、中央銀行は経済を活性化することができるわけです。

 

量的緩和とは何だったか

リーマン・ショック後に中央銀行がとった二つ目の政策は量的緩和政策(Quantitative Easing、以後QE)です。少し難しい言葉ですが、わかりやすくいえば中央銀行が紙幣を大量に印刷し、そのおカネで市中に出回る国債などを買い入れる政策のことです。

一般に、景気の後退期には経済活動は縮小します。さらに、景気後退によって心理が悪化した個人は消費を減らしますので、モノやサービスが売れにくくなってしまいます。

これに対し、会社は売上を維持するため値下げを行い、その結果利益の減少⇒従業員の削減や給与のカット→個人の心理がさらに悪化→消費の減少→値下げ→企業業績の悪化→雇用の減少・給与削減…というデフレのスパイラルが生まれ、景気が循環的に悪化してしまうことになります。

先ほどのQEは、この循環を断ち切るための政策です。

中央銀行が大量のおカネを市中に供給すると、どうなるでしょう。モノの値段というのはモノとおカネを交換する際のレートです。QEによって市場に大量のおカネが供給されますので、相対的なおカネの価値は薄まります。その結果、いままで1万円で買えていたモノも1万1000円を出さないと買えないという現象が起きるわけで、つまりこれはインフレです。

インフレに対して皆さんはあまり良い印象をお持ちではないかもしれませんが、実は緩やかなインフレは経済にとって好ましい現象とされています、なぜなら以下のような循環が生まれるからです。

緩やかなインフレ→企業の売り上げ拡大→従業員の賃金アップ→消費の拡大→企業の売り上げ拡大→従業員の賃金アップ…

リーマン・ショック後に日米欧の中央銀行がとったQEは、当時進行しつつあったデフレによる悪い循環を断ち切り、上記のような好ましい循環に戻すことが目的でした。

SPONSORED