パナソニック27万人の命運を握る「40歳の副社長」いったい何者か

再生を託されたキーマンにインタビュー
週刊現代, 田原 総一朗 プロフィール

—馬場さんは「未来の住空間環境プロジェクト」と銘打った『HomeX』を進めています。はじめ、パナソニックの社員の8割が理解できなかったようですが(笑)。

「住空間における人間の暮らしというのを、もう一度人間中心に戻したいという思いが非常に強いのです。いまの住空間は、非常に便利な反面、後ろめたさというか闇の部分を抱えているように思えます。食事をしながらスマホをやってみたり、トイレやお風呂にも持っていったり……失われたものもあるはずです」

 

—以前馬場さんは、「いまの居住者はすでに作られた住宅に合わせ、電気洗濯機、テレビ、エアコンなど作られたハードウェアに合わせて生活している」と仰いました。すでに作られたハードウェアに合わせてみんな暮らしている。それをもっと人間中心、居住者中心の環境にしたい、と。

「いまのAIの技術を家電や住宅設備に埋め込むことによって、住宅そのものをある程度、居住者に合わせることは可能だと思います。AIの技術を使って、状況を把握することは、シリコンバレー企業が非常に優位性を持っている。でもその後に、居住者にとって居心地のよい住空間をつくるのは、ソフトウェアつまりバーチャルだけでは無理で、ハードウェアの持つ現実的な機能で修正し、変更しなければならない。これが『HomeX』の鍵となる問題です」

—ハードウェアを動かすことができないと、あくまでバーチャルな世界だけですからね。

「そうですね。最終的に、少なくとも住空間における価値はハードウェアを通じて提供します。パソコンにログインしたり、スマホで価値が提供されるインターネットの世界ではなく、リアルの世界において価値を提供するのはハードウェアです。

ただし、その『価値』はソフトウェアの発想で創る必要がある。だから、私が求められたわけであり、『タテパナからヨコパナへ』と言っているのはまさにそのことです。いったんハードウェアを忘れて居住者の気持ちを読む。そこはソフトウェアの発想法です。

ハードウェアを制御して、この人に何をすればよいのか、と具体的に設営するのはソフトウェアです。われわれは、その両面を持っている。家電と住宅設備と住宅を持ち合わせているパナソニックの一番強みの出る領域ではないか、と思っています」

発売中の週刊現代では、馬場氏が思い描く『HomeX』の具体的なビジョンが更に詳しく語られている。

田原総一朗氏の最新刊『AIで私の仕事はなくなりますか?』(講談社)

「週刊現代」2018年9月22・29日合併号より

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