パナソニック27万人の命運を握る「40歳の副社長」いったい何者か

再生を託されたキーマンにインタビュー

巨艦・パナソニックが変わろうとしている。キーマンはひとりの男だ。本日発売の週刊現代では、「イノベーションの量産化」をスローガンに、シリコンバレーからビジネス改革の指揮を執る馬場渉氏に、ジャーナリスト・田原総一朗氏が改革のすべてを訊いている。

異例の大抜擢

2017年4月、パナソニックが発表した人事は、内外から驚きをもって迎えられた。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)技術を活かしたビジネスモデル創出のため、ビジネスイノベーション本部を創設。

 

その副本部長に、外資系企業「SAP」の幹部・馬場渉氏を招聘したのだ。まだ39歳だった馬場氏は、米国法人副社長も兼務し、「イノベーションの量産化」を、シリコンバレーの研究所から指揮することになった。津賀一宏社長は「外部の血を入れて会社を変えたい」と、異例の抜擢の背景を明かしている。

'12年の社長就任以来、改革を断行してきた津賀社長が再生を託した馬場氏は、パナソニックをどう変えるのか。'00年に中央大を卒業し、SAPに入社。同社でもシリコンバレー拠点で幹部を務めてきた。東京で会った馬場氏は半袖のTシャツ姿で、まったく格好をつけない、スポーツマンのような人物であった。

ばば・わたる/1977年生まれ。SAPジャパンを経て、'17年にパナソニックに移籍。同社ビジネスイノベーション本部長兼パナソニックノースアメリカ副社長

—シリコンバレーからお出でいただいてありがとうございます。馬場さんは現在、ビジネスイノベーション本部の本部長を務めています。ビジネスイノベーション本部はなぜ作られたのですか。

「今まで100年続いてきたパナソニックのビジネスモデルを変えたい、変えなければならないという強い思いですね」

—パナソニックというのは日本一の総合家電メーカーですよね。

「そうです。その勝ちパターンというか、ビジネスとしての勝ちパターンがあった。ひとつのヒット商品に支えられているというより、『仕組み』として勝ち続けてきた企業です。その仕組みの中で、企業買収や新製品開発をやってきたわけです」

—三洋電機や松下電工などを吸収したり、車載電池を開発したり……。

「はい。でも基本的には100年培ってきた勝ちパターンの上に、プラスαとして足し上げていったのです」

—ビジネスモデルを変えるというのは?

「いま、明らかに世の中の潮目が変わっています。創業100年というのはいいタイミングです。根本的にビジネスのやり方や考え方、とらえ方を変えようというのが背景です。パナソニックの企業理念は、『勝った、負けた』ではなく、世の中をよくする、人々の暮らしをよくするというもの。中国メーカーや韓国メーカーが敵ではない。原点に戻ろうということです」