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なんでも目で見えると思うなよ…「ネットラジオ」の驚くべき可能性

東大教授にお題エッセイを頼んでみた

ブルーバックス×現代新書×東京大学。

文系/理系、専門分野の異なる2人の東大教授に、

文系/理系2つの新書シリーズに所属する3人の編集者が「お題エッセイ」で挑む新企画「2×3(ツーバイスリー)」。

しばりひとつ。――毎月一題、「漢字3文字」限定。

記念すべき第1回のお題は「可視化」

「ネットラジオをやりませんか」

2014年から僕は仲間とともに、バイリンガルの独立雑誌『5:Designing Media Ecology』を出版している。6名の仲間がお金を出して、編集、校閲、デザイン、宣伝、販売など、印刷以外のすべてを自分たちでやっているリトルマガジンだ。

メディアの研究をしているうちにメディアを作ってみたくなった、といえばよいだろうか。これからのメディア論はメディア実践と結びついていくべきだ、という使命感みたいなものもあった。

雑誌『5』の中心メンバーにキム・ジリクというオーストラリア人がいる。いわゆるネイティブ・チェックをやってくれている。今はメルボルンにいるが、数年のあいだ、高円寺に住みつつ英語教師をやっていた。少しシャイで、文化的センスが鋭く、とても誠実な人物である。

雑誌が軌道に乗ったころ、キムが僕の研究室にやってきた。「水越さん、雑誌の次にネットラジオをやりませんか」という。

どのようなラジオかと尋ねると、ストーリーテリング・ラジオだという。アメリカの公共ラジオ(NPR)加盟局がいい作品を作っているらしい。

とりあえず彼が推薦してくれた、Radio Lab(WNYC制作)、This American Life(WBEZ)、The Organist(KCRW)などのウェブサイトにアクセスし、あれこれ作品を聴いてみた。

「Radio Lab」
「Radio Lab」トップページ

多くの人はラジオと聞けば、ディスクジョッキーがリクエスト曲を流したり、パーソナリティがゲストとおしゃべりするような、いわゆるトーク型の番組を思い浮かべることだろう。そのイメージとはだいぶ違っていた。

あえて日本語でいえば、録音した音声を編集して物語作品にする「録音構成」だといえるだろう。短いものでも十数分、長いと1時間を超えるものもある。

作品を聞いてみると、英語だからということもあるだろうが、意味よりも先に音が迫り出してくる。ナレーションは少なく、多様な声や音を組み合わせ、日常生活のあちこちに顔を出している何気ないことがらに注目し、語りは進む。

たとえば、昔の教育映画や産業映画、人々が要らなくなって捨ててしまうホームムービーなどを集め、編集し、あらたな映像作品を作っているサンフランシスコの夫婦の話。

アメリカン・フットボールの歴史を、19世紀末に出来たネイティブ・アメリカンの学校のチームにまでさかのぼり、関係者のエピソードをもとにたどっていく作品。

どれもまさに物語っていく(ストーリーテリング)「録音構成」だ。

それらはどれも、私が日本のラジオでこれまで聞いたことがない作品だった。