菅義偉官房長官は後藤田正晴と野中広務を超えたか

安倍首相も恐れる「陰の総理」
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「後藤田超え」の条件

野党失速で、見る影もない細野豪志や長島昭久にも菅は頻繁に声をかけ、会食を行っている。

「落選中だった野党議員が当選して登院すると、すかさず『復活されたんですね。おめでとうございます』と握手し、電話もしてくる。人たらしですよ」(立民幹部議員)

菅の融通無碍な動きは、過去の後藤田や野中の動きにも通じるが、政権幹部の一人はこう語る。

「後藤田さんや野中さんは、自分がトップになれなくても、総理を動かしているという存在感を滲ませていたが、菅さんには一切そういうところがない。

それが弱点でもある。あの二人は戦争を知る護憲派の立場から、自衛隊問題について総理に異論を唱えた。菅さんからはああいう政治理念が見えてこない」

後藤田正晴を大叔父にもつ衆議院議員の正純も同意する。

「うちの先代や野中さんに比べると、総理のブレーキ役になれていないのではないか。苦労もされ、修羅場をくぐってこられた方ですから、そこだけが残念です」

 

だが、ある閣僚経験者は、すでに菅は野中を超えていると言う。

「野中さんは1年3ヵ月しか務めていませんし、菅さんのほうが多くの実績を残している。『ナンバーワン』と言われてきた後藤田氏を超えるかどうかは、来年次第でしょう」

具体的には何か。天皇譲位と、安倍の悲願である憲法改正である。

「混乱なく改元、譲位できるか。党内と公明党、維新をうまくとりまとめて、憲法改正に着地できるか。いずれも混乱が予想される難題です」(同)

「後藤田超え」ができるなら、菅は「ポスト安倍」の有力資格者たりうる。

「安倍さんの後の総裁候補は今のところ菅さんしか見当たらなくなった。『凡人』と呼ばれた小渕恵三は、官房長官として『平成』の発表をし、鮮烈なインパクトを与えて総理になりましたが、同じことが起こるかもしれない」(自民党幹部)

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だが、みずからの師・梶山の総裁選での失敗を菅は忘れまい。

「色気を見せた時点で、政治力は失われるんだ」

かつて周囲にそう語った菅だが、最近のインタビューで、「総理を目指すか?」と問われ、

「それはない。自分のことを一番よく知っていますから。政治はいろんな人の組み合わせでできていくと思う」と即答したのは、野心を隠すための、安倍へのメッセージであろう。

平成の終わりに、菅がどう動くか、目が離せない。

(文中一部敬称略)

「週刊現代」2018年9月15日号より