ランドセルは本当に軽いほうがいい?安易な「かわいそう」が奪うもの

「体幹」が強い子どもの育て方とは
露木 由美 プロフィール

1:核家族化による「便利グッズ」の普及
大家族が当たり前だった時代には、お母さんが忙しい時にでも誰かが赤ちゃんの面倒を見てあげることができた。しかし今は夕方の忙しい時間帯に泣いている赤ちゃんの面倒を見てくれる人はいない。

その時に大活躍するのが座れない子が座れるようになる「おすわりサポート椅子」。赤ちゃんは寝ている景色よりも座っている景色の方が楽しく、寝かせて遊ばせて泣いている子も座ると楽しそうに遊んでくれるようになる。しかし、本来座れない子がグッズによって座るということが、体の動かし方の成長段階を飛ばしてしまうことになるので注意したい。

2:ハイハイを十分にするためのスペースが取れない
都会の狭いマンションやアパートに住む場合、リビングに角の鋭いテーブルや家具など赤ちゃんには危険なものがあるため、自由にハイハイさせてあげられるスペースをとってあげることが難しい。

するとベビーゲージと呼ばれる柵の中に赤ちゃんを入れて、狭いけれど安全が確保できる場所で遊んでもらい、その間に忙しく家事などをこなさなくてはいけない現状がある。狭くてもいいからベビーゲージでない場所で、できるだけ赤ちゃんがハイハイを自由にできるスペースを作ってあげよう。

3:赤ちゃんを平らに寝かせてしまう
生後すぐの赤ちゃんが快適な姿勢は背中を少し丸くする、いわゆる「Cカーブ」の形に保つ「Cカーブポジショニンング」。しかし、赤ちゃんの背骨はCカーブの状態で生まれて来るのに一般的なベビーベッドは平らなものがほとんどで、生後すぐに背骨を平らに寝かされる。

すると赤ちゃんは不快な症状から「夜泣き」「むきぐせ」「吐き戻し」「反り返り」などの赤ちゃんトラブルと言われる症状が出てしまう。特に「反り返り」は正しい寝返りを妨げ、正しい「ずりバイ」「ハイハイ」ができなくなる原因になることが多いので注意したい。

赤ちゃん期の体の使い方については、詳しくは、著書『「体幹」を整えると素直に育つ』に書いた。より深く知りたい方は参考にしてほしい。

 

「ボディイメージ」を学ぶのが大事

「自分という車をうまく運転するイメージ」で体を動かす。私はその感覚を「ボディイメージ」と呼んでいる。

教習所で何度も練習をして経験を積むことで車の運転が正しくできるように、人も「自分という車を運転」する技術や感覚を「きちんと」学ぶ必要がある。それをちゃんと学ばないと、その結果、体をうまく使えずに、子供に限らず、大人も肩こり腰痛やその他の体の不具合を起こしてしまうのだ。

できれば、赤ちゃんの時期に、先述した「二足歩行の獲得までの発達を順番通りにする」のが一番いい(早く、簡単で苦労がない)。しかし、先にあげた3つの理由で順番通りに学べなかった場合は、次の段階で「ボディイメージ」を習得していく。そこで重要なのが、日常生活での習慣・外遊び・スポーツだ。

それでは、どのような習慣や遊びでボディイメージは学べるのか。

1:自分の荷物は自分で持つという習慣
トトロ幼稚舎の例でも述べたが、小学校に入る前までの幼児期に徐々に重たい荷物を運ぶことができるような経験が、その子のためになる。「自分の荷物は自分で持つ」という基本的なルールを家族が徹底して貫くと、それが当たり前になり、その子の体を強くしていくのだ。幼稚園児にカバンを持たせたら「かわいそう」ではなく「体幹が強くなっていいね」ととらえてみてはどうか?

2:子供の希望を尊重した遊具での遊び
日本では昔から、ボディイメージを主に遊びの中で習得してきた。夕日が暮れるまで田んぼや山の中、野原や空き地で夢中になって遊んだ過程で「体の使い方」を習得していったのだ。今は野原や空き地は少ないが、その代わりとなるのが公園だ。しかし、その公園さえも変わってきてしまった。

我が家には20歳から10歳までの4人の子ども達がいるが、この年の差の10年でも、状況が大きく変わってきたと感じる。長男の時はまだ公園の遊具がバラエティに富んでいた。しかし段々単純な作りの簡単な遊具に変わってきてしまった。遊具の全てに「3歳児以上」などと年齢制限などもついている。怪我をする子供がいると遊具が撤去され、より安全な遊具に変わっていく。

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「あの遊具は危ないからこっちで遊びましょう」と親が制限するのは簡単だ。でも大切なのは子供自身が「この遊具は自分で登れる」と判断できるかどうか。この判断力はボディイメージを増やすためには必須だ。「やってみたい」「楽しそう」という気持ちが「チャレンジ精神を作る」のであり、そのチャレンジ精神が今まで使ったことのない体の使い方を獲得していくチャンスなのだ。だからそのチャレンジを制限するものではない。もちろん親がいつでも補助したりストップする準備も必要だ。

親ができるのは、やるかやらないかを決めることではなく、やりたいという気持ちを引き出すこと。もし、子供がチャレンジしてみてダメならまだ早かったというだけ。そういう小さい失敗経験が将来の「自分で考える力」になり、「判断力」にもなる。それがより充実したボディイメージを作っていくのだ。