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ランドセルは本当に軽いほうがいい?安易な「かわいそう」が奪うもの

「体幹」が強い子どもの育て方とは

先週の月曜、文部科学省が「置き勉」を認める通知を出したことが報じられた(重いランドセル 文科省が“置き勉”認めるよう全国に通知へ)。

昨年、大正大学の白土健教授が東京都内の小学1~3年生20人のランドセルの重さを調べた結果、平均の重さは約7.7キロだった(重~いランドセル、中身増え平均7キロ 小1「肩凝る」)。ゆとり世代の反動で教科書自体の総ページ数が増え、ランドセルが重たくなっており、腰痛や肩こりに悩む小学生も増えているのだという。そんな「ランドセルを軽くすべき」という意見も踏まえ、今回の通知につながったのだろう。

しかし、姿勢改善トレーナーとして、長年、子どもから大人までその「姿勢」を見続けてきた私としては、少々疑問が浮かぶ。「重たいランドセルを軽くしてあげること」が子ども達にとって本当にいいことなのか? 異論を唱えたい。

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「ランドセルを軽くする」のはいいことか?

ランドセルを軽くすることが、子どもにとっていいことだとは言い切れない。そう考える理由として、我が家のエピソードから話を始めたい。

我が家の子ども達が通っていた横浜市磯子区のトトロ幼稚舎では、幼稚園に入ったばかりの年少さん(3~4才)でも毎日片道2キロ先にある公園に遊びに行く。リュックの中身はお弁当、水筒、カッパの上下、着替え一式。重さは1〜3キロくらいはある。

「活動に必要な荷物は自分で用意し、自分の足で、自分に必要な荷物を運ぶ」

この基本的なことを徹底して3年間過ごす。すると体幹がしっかりと順番を追って鍛えられるため、箱根八里を歩く卒園遠足では箱根湯本から三島まで約30キロの足元の安定しない石畳や山道を重たいリュックを持って8〜10時間歩くことができるようになるのだ。

卒園遠足の時のリュックは、1日分の食料、水筒、どんな気候でも対応できる洋服などの装備で3〜5キロくらいにはなる。それでも、どの子もその重たい荷物を持って歩く姿が誇らしげだ。

どんなに体が小さい子も、入園時に体力がなかった子も、体幹を徐々に鍛えればみんな重たいリュックを背負って箱根八里を歩けるのだ。この子達が小学生になって、ランドセルが重たいという理由で肩こり腰痛などに悩んで接骨院に通う話は聞いたことがない。

ここから考えられるのは、肩こり腰痛になる理由は、重たいランドセルを背負ったから、ということではなく、体幹を徐々に鍛えることができないまま幼稚園時期を過ごしてしまい、小学生になって初めて重たいランドセルを背負うことになるから、なのではないだろうか?

一般的な幼稚園でよく見かけるのは、幼稚園の前までは保護者が荷物を持ち、着いたら荷物を持たせて「行ってらっしゃい」という光景。しかし、お弁当や水筒が入っている幼稚園のカバンを毎日子供が自分で持って往復きちんと歩くことができたとしたら、それだけでも体は強くなり、体幹を強くしていくことができる。

 

赤ちゃん期の体の使い方から見直そう

子供の体幹を考えるなら、「重たいランドセルを背負って歩く」前の段階、そもそも「歩く」ことから見直したい。

「歩く」ことは誰かに教えてもらわなくても、運動器に問題がなければ早かれ遅かれ反射でできるようになる。反射が促す発達段階には大きく分けると「仰向け」「寝返り」「うつ伏せ」「ずりバイ」「ハイハイ」「おすわり」「膝立ち」「立ち上がり」がある。

一つ一つがきちんとできて次の段階に行くことができるなら、人はみんな「まっすぐ立てる体を作る」ことができるようになる。そうすれば体に負担がないように歩くことができるようになるのだ。

しかし今の子供たちは、以下にあげる理由で、その「体に負担がないように歩く」ことができなくなってしまっているのだ。なぜ現代では、この赤ちゃんの成長段階を、順番を飛ばさずスムーズに進めていくことができないのか。その邪魔をしている代表的な環境を3つ紹介する。