投資の神様バフェットが「投信を買ってはいけない」と忠告する理由

ただしインデックス・ファンドはOK
大原 浩 プロフィール

インデックスファンドはOK

ちなみに、過去の「バフェットからの手紙」では、遺産相続(2番目の奥様への遺言)にも触れているが、現金や米国債以外は、手数料の安いS&P500連動のインデックス・ファンドで運用するよう指示されている。インデックス・ファンドは、各市場の平均株価や債券指標など、主要指標の構成と同じ資産構成で運用し、指標と連動した運用成績を目指すもの。

なぜ、一般的な投信・ファンドはダメでインデックス・ファンドなら良いのか? 一般的な投信は手数料負担が大きく、特にファンド・オブ・ファンドなどの手数料二重取りの場合は、手数料で負けてしまう。

そもそもファンド・マネージャーの運用能力よりも「サルの方が勝る」。このことは行動経済学的に確かめられている

ノーベル経済学賞を2002年に「プロスペクト理論」によって受賞し、「行動経済学」の第一人者であるダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」という著書で紹介されている。

彼がその本で紹介する、50年間にわたるデータを基にした調査によれば、投資マネージャーの運用成績はサイコロ投げにも劣る。この調査によれば少なくとも投信・ファンドの3件に2件は、市場全体のパフォーマンスを下回っていた。

サルに任せるか、あるいはコイン投げで運用した場合の的中率5割の方がましということである。

さらに、カーネマンが某金融機関運用マネージャー25人の8年間の運用成績を研究した結果は、「1年目と2年目、1年目と3年目……7年目と8年目まで28組のペアをつくって求めた相関係数は、0.01であった」と紹介されている。

かなり専門的な話だが、まとめてしまえば、これらの運用成績に相関関係は無い、つまり担当者のスキルによる運用成績への影響はゼロという結果になったのだ。

実はカーネマンは、情報提供先の金融機関にこの研究成果を報告したが、「教会の牧師に『神は存在しないことが証明されました』と報告したとき」以上の冷たいあしらいを受けている。投信を販売している企業にとって「真実」など邪魔者でしかないのだ。

特にファンド・マネージャーは高給取りである。彼らは自分のおまんまの食い上げになるような意見は無視するか、それとも魔女裁判のような形でたたきつぶすしかない。

それに対して株価連動のインデックス・ファンドは、米国株式や日本株式の市場の価格が長期的に上昇し続ける限りその価格に連動するので、安心して持つことができるし、ファンド・マネージャーの手腕や高額な手数料に煩わされることも無い。

米国株については、歴史的に上昇してきたのは明らかであり、今後も上昇するとバフェットは確信している。だからこそ、バフェットは遺言で国債以外には株価連動のインデックス・ファンドを買うよう指示したのだ。

日本株についてはどうか? バフェットは何も言わないが、私は長期的に上昇すると確信している。

 

それでは自分自身で運用すべきか?

カリフォルニア大学バークレー校金融工学教授のテリー・オディーンが某証券会社顧客1万人(取引数は16万3000件、その多くが男性)について行った調査によれば、投資家が手持ちのA株を売って、その資金でB株を新規に購入した場合、もともと所有していたA株の方が、新規の購入したB株より株価3.2ポイント年平均でより高く上昇していた。前述のとおり、手数料は別である。

要するにあれこれ考えて売買せずに、最初の株をそのまま持っていた方が良い結果であったということである。

また、彼と同僚のブラッド・バ―バートとの共同研究では、「平均的には、最も活発な投資家(売買回数が多い)が最も損をし、取引回数の少ない投資家ほど儲けが大きい」ことが確かめられている。バフェットの主張通り、売買すればするほど損をすることが明らかになっている。

またこの調査は、男性は「無益な考え」に取りつかれる回数が多く、その結果、女性の投資実績は男性を上回ることも示している。これは私の観察結果と一致する。

確かに、投信を買うよりは「長期投資」を自分で行った方がましなのは確かだが、上記のように決して簡単では無い。

バフェットは「勉強する気の無い人間は投資をするな」と戒めている。投資では、初心者だからといってゴルフのようなハンディ・キャップがもらえるわけでは無い。むしろよちよち歩きの初心者は絶好のカモである。

バフェットお気に入りのジョークは「ポ―カーを30分プレイして、誰がカモかわからなければ、あなた自身がカモである」というものだが、「初心者向け商品」というのが一番あやしい。そのようなものが実際に存在するはずが無く「カモ様ご御一行御用達」ということなのだ。

そもそも金融機関が販売する商品は、自分で投資しても儲からないと思うから、他人に販売するということを忘れてはならない。