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投資の神様バフェットが「投信を買ってはいけない」と忠告する理由

ただしインデックス・ファンドはOK

バフェットの教えは正しく伝わっていない

投資を行う人々の大半は、ウォーレン・E・バフェットの名前を一度は耳にしたことがあるだろう。

バークシャー・ハサウェイの実質的創業者(もともとは繊維企業であるが、バフェットが投資会社として再構築した)であり、時価総額50兆円以上(世界第5位)の巨大帝国を一代で築いた。

ちなみに、アップル、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)は100兆円レベル、フェイスブックがバークシャーと並ぶ水準である。残念ながら日本を代表するトヨタ自動車の時価総額は20兆円強にとどまる。日本ではあまり知られていないが、バフェットは米国では実業家としても大いに尊敬されている。

しかし、バフェットの本領が投資分野にあるのは間違いない。ティーン・エイジャーの頃に新聞配達などで溜めた小遣いを元手に、一時期はマイクロソフトのビル・ゲイツと世界長者番付1位を争うまでの「超大金持ち」になった「投資手腕」は大変優れたものであり、「バフェット流」を何とかマスターしたいと多くの人々が考えている。

ところが日本での報道を見る限り「バフェット流」の重要な部分が抜け落ちている。

例えばバフェットは「ストック・オプション」制度に断固反対している。バークシャー・グループでは、買収した企業にもともとその制度があった場合を除き一切採用しない。「ストック・オプションは、株主の懐の財布に手を出す行為」=「泥棒」であるとまで言って糾弾しており、米国では大きな論争になった。

・株主が株を買うときは代金を払うが、経営者や従業員だけがタダでもらってよいのか?

・経営者が高い報酬をもらいたければ、不明瞭なストックオプションではなく、明確に査定できる給料でもらえばよいのではないか。

・誰がどのように会社の発展に貢献したのか明確にせずに、ただバブルで株価が高騰したというだけで役員や従業員が高額報酬をもらって良いのか?

・経営者が将来の会社の発展を犠牲にして、現在の利益をあげれば株価が上昇してストックオプションで儲かることになってしまう。

ということである。

投資信託やファンドについてもストックオプション同様、バフェットはズバリ切り捨てている。最近日本で投信のパフォーマンス云々という議論が活発になっているようだが、そのようなことはバフェットが、何十年も前から指摘していることである。

 

助っ人に金を払う価値は無い

50年以上の歴史がある「バフェットからの手紙」(ごく初期のもの以外は英文だがHP上で公開されている)では、かなり昔から「助っ人に金を払う価値は無い」と述べている。

バフェットが意味する助っ人とは、「銀行」「証券」「評論家」「アナリスト」などの「外野」である。

また彼は「放送ブースに入れば野球がどれほど簡単なスポーツなのかわかる」と皮肉っている。野球解説者たちは、そのチームの選手たちが自分のいう通りにプレーすれば勝利が約束されるような話をする。

しかし、解説者の指示に監督や選手がしたがったからといって勝てるわけではないことは、良識がある人ならすぐにわかることである。

投資の世界に限ってはこの助っ人(外野)の話を頭から信じ込んでプレー(投資)する人々があまりにも多いことには驚かされる。

投資信託・ファンドのパフォーマンスについても、助っ人同様かなり辛口のコメントを続けてきたバフェットだが、その言葉に反発したファンドの大物経営者と「勝負=賭け」をすることになり、その様子が「バフェットからの手紙」に報告されている。

この賭けは2007年に某ファンドの経営者と100万ドルをかけた真剣勝負である。実際には途中からいろいろな事情でこの賭け金をバークシャーの株式で運用したため222万ドルになった。もっともバフェットにとってははした金だが……。

2018年2月末公開の「バフェットからの手紙」もこの賭け(勝負)ついて触れている。

某ファンドが選りすぐった5本の個別ファンド(ファンド・オブ・ファンド)が、S&P500の成績を上回るかどうかに賭けたのである。S&P500は米国の代表的株価指数で、バフェットは株式指数ではダウ式平均ではなくこちらを主に使う。バフェットはS&P500が勝つ方にベットした。

結果は明らかである。10年間でS&P500が125.8%(約2.3倍)上昇したのに対して、5本のファンドのうち成績の良いものでも87.7%しか増えず、最悪ファンドの場合たった2.8%の増加であった。しかもこのファンドは途中で解散したので9年間の数字だ。

もし、バークシャーの運用成績と比較したら目も当てられない悲惨な結果である。

バフェットは、この結果からも、投資信託・ファンドは投資家が資産を増やすために存在するのではなく、ファンド・マネージャーや運営会社などが運用成績にかかわらず、手数料などで自分の懐に札束を詰め込むために存在するのだとばっさり切り捨てている。

もちろん、助っ人たちの「助言」も同じで、彼らに高い報酬を払っても投資家が得をすることは無い。