「幼なすぎる動物の販売」をなぜ続ける?ペットショップ論争の大問題

海外で禁止の赤ちゃんが売られている
友森 玲子 プロフィール

「たった1週間販売を遅らせる」が実行できない

動物愛護に関わっていると、やはりペットショップの存在には疑問を持つことは多い。でも、だからといって、今「ペットショップはいらない」と極論を訴えても、それは実現にはほど遠く、今現在、不幸に直面する動物たちを救うことにはならない。まずは、売れ残りが出るほど大量に繁殖される現状、幼さを売りに販売される動物たちの環境を少しでも改善していくことが先決だと私は思っている。

2013年施行の改正動物愛護法では、幼ない動物の販売を食い止める第一歩として、販売目的で“56日齢以下”の犬猫を母親から引き離すことが禁じられた。しかし現時点で、この改正案はなぜか実行に至らず、「49日齢規制」にとどまっている状態だ。欧米諸国では、「8週齢規制(生後56〜62日)」を行っているところが多い

ペット事情を語る際に、欧米と比較して日本が遅れていると称されてしまうのは、この販売の日齢規制がいつまでも改善しないことも理由のひとつだ。私が主宰する団体も署名活動や行政へのディスカッションなどで、法改正実現に働きかけも行っている。

しかし、現実は厳しい。たった7日母親の元にいる時間を増やしたいという願いですら、実現できない。この低レベルな成り行きには正直呆れてしまう。改正実行の足がかりになっているのが、環境省とペットの繁殖・販売業者だ。

環境省は、幼ない動物の行動障害には、動物行動学などの論文もあるが、科学的根拠が弱いことを理由として難色を示している。しかし、その背景には、ペット業界などの圧力が想像できる。

ペットの販売業者は、幼ないほど購買意欲を刺激し、衝動買いなども起こりやすくなる消費現状を把握している。そのことから、8週齢の幼齢期を過ぎた生体販売の動きが悪くなることを懸念し、強く反対しているのだ。

また、大量に動物を卸す繁殖業者は、市場やペットショップに卸す時期が遅くなると、その期間飼育にコストがかかり、さらに取引数も低下する可能性があることから、損失増加を考慮し反対している。49日から56日という“たった1週間”販売を遅くすることにもさまざまな理由をつけて抵抗を続けているのだ。

 

“8週齢規制”がペットショップを変える!?

でも、だからこそ“8週齢規制”は重要なのだ。少し大きくなるだけで、生体販売の動きが悪くなれば、生体販売で利益が取れなくなり、生体販売を重視するペットショップは減っていく可能性も出てくる。また、繁殖業者も滞在時間を長くしてコストがかかれば、利益優先の悪質な業者は、繁殖をやめることも期待できるからだ。

また、8週齢規制だけでなく、繁殖環境(施設の広さや出産回数)、従業員1人あたりの飼育可能数なども同時に改正してほしいと働きかけを行っている。先駆けて導入している欧米で出た問題点や解決策を参考にしつつ、日本の動物飼育の状況に合った改正を段階を追って続けることが、大事なのだと思っている。しかし、今年の法改正を求めて活動を行っていたが、現状では今年の改正はとても残念な結果になりそうだという情報が入ってきている。

飼う側も「小さいほどいい」の思考を考え直す。これがペットショップを見直す第一歩になる。Photo by iStock

なぜ、「8週齢規制」を実施するのがそんなにも難しいのか。動物たちがすこやかに育ち、その成長が、動物を飼う人にも幸せをもたらす規制だというのに……。なぜ、そんなにも幼ない子をペットショップで販売しなくてはいけないのか……。

そこには私たち消費者が、「小さいほどかわいい」、「小さい子でないと慣れない」、「赤ちゃんから育てたい」そんなペットへの思いが根強くあるからではないだろうか。「ペットショップはなくなればいい」の前に、購入する側も販売側もこの矛盾に、そろそろ気づくことが、まず必要なのではないか。