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余命3ヵ月宣告でも…有名人「私はこうして病気を治した」

「奇跡」とよぶしかないのかもしれない

ある日突然、死の淵に立たされたにもかかわらず、彼らは「奇跡」を起こした。なぜ真っ向から立ち向かえたのか。その理由を訊いた。

腹膜播種 元ヤクルト投手・安田猛 「スキルス性で余命1年 野球があるから闘えた」

「'17年1月から、故郷の小倉高校で野球部のコーチを始めたんです。2月頃、持病である糖尿病の治療のために地元の病院に行った際、ついでに触診とエコー検査をした。

すると医師から『すぐに大きな病院に行け』と言われ、九州労災病院に行きました。そうして3月に、胃カメラの検査をしたら『腹膜播種で、胃にスキルス性のがんがあります。ステージⅣです。余命は12~13ヵ月でしょう』と診断された。

痛みも、自覚症状も何もないので、ただただ驚きました。『あと1年か……』と呆然としましたね」

ヤクルトスワローズなどで活躍した、安田猛氏(71歳)。新人王、最優秀防御率(2回)などのタイトルを獲得し、通算93勝を挙げた大投手だ。特に王貞治氏(78歳)とは名勝負を繰り広げた。

王氏が世界新記録756号本塁打をかけた打席で7度対戦し、7度打ち取るなど、〝王の天敵〟と呼ばれた男である。

 

現役引退後、ヤクルトなどでコーチを歴任。昨年に地元の高校からオファーを受け、高校生の指導に邁進し始めた矢先の出来事だった。

腹膜播種とは、体内にある腹膜の表面に腫瘍細胞が散った症状のこと。

「治療は東京に戻って、国立がん研究センターで受けることになりました。膵臓にもがんがあったようで、手術は断念し、抗がん剤治療を始めました。5日間入院して、72時間、点滴で抗がん剤を注入します。

それで5~6週間経ったら、また5日間入院するという繰り返しです。主治医の先生からは『(抗がん剤が)効いているようだ』と言われています」

がんの発覚から、間もなく1年半。現在、安田氏は一時休んでいた小倉高校の野球部のコーチにも復帰している。

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「(抗がん剤治療の合間の)3週間は小倉に来て、選手の指導をしています。野球をすることでリフレッシュできるというのは大きい。

私はこれまでの人生であまりストレスを感じたことはありませんでしたが、それでも72時間の点滴はさすがに堪えました。ただ、『負けてたまるか』と思う。そういう負けん気がよかったのかと思います。

それと、病気になってから嬉しかったのは、王さんから色紙が贈られてきたときです。『病気に負けるな』と書かれていました。

王さん自身も胃がんを経験されているので、心配してくれたのだと思います。自宅の棚の真ん中に飾っていて、これも大きな励みになっています」