寄生虫すごいぜ! 想像を超える見事な生存・繁殖戦略

「ずるいヤツら」なんて思っていない?
大谷 智通 プロフィール

寄生生物は「ずる賢い」のか

寄生という言葉に、「他者から搾取して楽をする、ずる賢い生き方」というイメージを抱く人もいるだろう。とりわけ、先に述べたロイコクロリジウムのような寄生生物は、私たち人間の目からは、あたかもずる賢く宿主を「操っている」かのように見える。

しかし、寄生生物たちの奇妙な体の形、工夫を凝らした栄養を得るための仕組み、繁殖のための目を見張るような優れた戦略は、数億年の星霜を経た自然選択の果てに彼らがようやく獲得したものだ。

私たち現生人類がこの地球上に誕生したのは約20万年前である。そんな私たちの時間感覚では、寄生生物の祖先が延々と繰り返したトライ・アンド・エラーがどれほどのものだったか、その実際のところは想像もつかない。寄生という生き方は決して安易に選ばれたものではないのだ。

ここまで、寄生生物のことを擬人的に語ってきたが、ヒトならざる彼らに、例えば「楽をして生きてやろう」などという意志があるわけではない。彼らの小さな脳はおそらく何も考えていないだろう。

気の遠くなるような進化の試行錯誤の果てにできあがったライフスタイルがあまりにも洗練されているために、わたしたち人間からは、寄生生物がずる賢く見えてしまうだけなのだ。

 本記事を執筆した大谷智通氏の著書はこちら 

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