寄生虫すごいぜ! 想像を超える見事な生存・繁殖戦略

「ずるいヤツら」なんて思っていない?
大谷 智通 プロフィール

ロイコクロリジウム──カタツムリの角がイモムシに!?

ロイコクロリジウムという寄生虫は、カタツムリ(オカモノアラガイ)と鳥を宿主とし、それらの間を行き来しながら繁殖する。陸にいるカタツムリから空を飛ぶ鳥に移動するのはそう簡単なことではないが、この寄生虫は驚くべき方法でそれを成し遂げてしまう。

カタツムリはふつう、天敵である鳥に見つからないよう葉の裏などに隠れているが、この寄生虫の幼虫に寄生されたカタツムリは葉の上の方に移動しやすくなる。おまけに、このときのカタツムリの体内には、幼虫が詰まったしま模様の袋がつくられ、それがカタツムリの角の中でイモムシのように伸び縮みして鳥にアピールする。

イモムシは鳥たちの大好物だ。哀れカタツムリは鳥に見つかって食べられてしまい、寄生虫は栄養豊富な鳥の体内に到達して成虫になる。

※8月4日、寄生虫の研究博物館である目黒寄生虫館で「生きたロイコクロリジウム」の展示解説会が開催された。(目黒寄生虫館WEBサイト参照)

【写真】ロイコクロリジウムに寄生されたカタツムリの一種
  ロイコクロリジウムの幼虫に寄生されたカタツムリの一種。触角がしま模様のイモムシのようになっているのがわかる photo by gettyimages

リベイロイア──カエルの脚を変形!?

リベイロイアもロイコクロリジウムと同様、ライフサイクルの最終目的地として栄養豊富な鳥の体内を選んだ寄生虫だ。ただし、リベイロイアの場合は水の中に産み落とされた卵からかえって、最終的に空を飛ぶ鳥の体内に侵入しなければいけない。これもかなり困難な道のりだ。

このハードルを越えるために、リベイロイアは宿主が移動につかう「脚」を改造することにした。水中で卵から発生したリベイロイアの幼生はまず巻き貝に寄生し、そこで遊泳能力をもった形態へ変化して、今度はオタマジャクシに寄生する。このとき、幼生はオタマジャクシの脚の付け根あたりに潜り込んで、後に起こる脚の形成を妨げる。

【イラスト】リベイロイアの幼生(セルカリア)
リベイロイアの幼生(セルカリアの段階)は0.8mmほどの大きさ。成虫は1.6〜3mm。幼生は、オタマジャクシの脚の付け根あたりに侵入する。北米に分布する イラストレーション:佐藤大介

このオタマジャクシが成長したカエルは、ねじ曲がった脚が何本も生えたり、逆に脚が4本生えそろわなかったりする。脚が変形したカエルは天敵の水鳥からうまく逃げられず、簡単に捕食されてしまう。

【イラスト】リベイロイアに寄生されたカエル
  リベイロイアに寄生されたカエルは脚が何本も生えたり、逆に脚が4本生えそろわなかったりする イラストレーション:佐藤大介

こうして、この寄生虫は見事に水の中から脱出して、最終目的地である鳥の体内に侵入する。