『義母と娘のブルース』公式サイトより

『義母と娘のブルース』は、新たな時代のホームドラマだ

綾瀬はるかの「人間味の薄い役」がいい

予想もしない展開だった

今クールドラマの収穫は『義母と娘のブルース』である。

綾瀬はるか主演のこのドラマが、こんな展開になるとは予想していなかった。

事前のリリース資料だけではわからなかった意外な進展を見せた。ドラマに引き込んでいく力が尋常ではなかった。すごいドラマである。

ドラマの基本のトーンが明るい。

そしてテンポが早い。視ている者の予想をはるかに越えて、どんどん物語が進んでいく。それが心地よい。テンポが早いだけだと視聴者が置いてけぼりにされることがあるが、このドラマでは人のつながりが丁寧に描かれているので、そこがよかった。中盤からのスピーディな展開にぐいぐい引き込まれていった。

“義母”というのは継母のことである。

「継母と娘の話」は昔からいじめとともに暗いものに決まっていたが、2018年の継母物語は、まったくそういう気配はない。ずっと明るい。

 

継母というのは、もともと「家庭の破壊者」である。彼女によって家庭内の空気が変えられるのが、継母物語の前段の見ものであるが、このドラマではそこは問題にされてなかった。ごく自然に変わっていった。

綾瀬はるかの一生懸命で明るい継母姿を見てると、かつての暗い継母物語は、「家」を大事にしていた時代の産物だったのだな、と気づかされる。

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昭和の後半までは、「家」や「家庭」が大事にされていた。結婚も「家同士の結びつき」だと言われていた(いまも一部で残っている)。

そういう時代は、みんなかなり努力して、「家」や「家庭」を維持していたのだ。多くの人たちが「家」を大事なものだと信じていた。その維持には大変な労力が費やされていた。労力の多くは女性が担っているものだった。苦労がつきない。

その苦労について細かく描くのが、昭和のホームドラマだった。

「家」というよくわからないシステムを維持するために、よくわからない苦労をしているものだから、テレビドラマでその苦労を描いてくれると、強く共感できた。「家」の維持を女性にまかせてた男性は、見たって共感できないから、ホームドラマは主婦のものであった。