# 働き方

働き方改革は時短ではなく「時間を創り再配置するため」が正解だ

目的を間違ってはいけない
越川 慎司 プロフィール

増えた時間を何に使うか

さて、最後に一番重要なことをお話しましょう。働き方改革を実践して「生み出した時間」で、一体なにをすべきか……それを考えてください。働く時間を削減することが目的ではなく、時間当たりの成果と働きがいを上げて「より多くのことができる状態(アチーブモア)」になることが目標です。

私が週休3日、週30時間労働を実践しているのは、なにも楽をしたいから、ではありません。限られた時間の中で成果を最大化するには、自分の意識を変える前に、行動を変えてしまおうと思ったからです。

また、テクノロジーが発展してAIと人間の分業が進み、そして非効率な組織のしがらみがなくなれば将来的にほとんどの企業が週休3日を実現できると信じているからです。それも、社員の給料は下がらず、会社の利益も上がっていくというウィンウィンの状態で。そうなれば社員も会社も社会もハッピーです。この世界を実現するために、自分が行動を変えて、それで会得した知見を多くのクライアント企業に共有しようと決めたのです。

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増えた一日の休みを、私は家族の介護に使っています。家族と過ごす時間に充ててもいいでしょう。

あるいは、松下幸之助さんの思想が参考になるかもしれません。週休2日を日本で浸透させたのは松下幸之助さんです。松下電器がアメリカに進出したときに、「アメリカ人は週に2日休んでいるため、生き生きと働き、それが生産性の向上にもつながっている。日本でも導入すべきだ」とすぐに行動を起こしたのです。

その時、松下さんがおっしゃったのは、2日の休みのうち1日を休養に、もう一日を「教養」に充てるべきだ、ということでした。週のうち一日を自分磨きのために使いなさい、ということですが、いまの時代の変化に追いつくためには、教養の時間は2日あってもよいのではないでしょうか。

 

私はいま、三つの大学で経営学やマーケティングについて学生に教えていますが、同時に、自分が学ぶために大学院にも通い多くの勉強会やセミナーにも足を運んでいます。知識の吸収には読書も不可欠で、週に四冊以上のビジネス書や専門書を電子書籍で読むようにしています。

週休3日にしてから確実にインプットの時間が増えていき、本業のアウトプット(講演や研修、コンサル)の質が上がっていると思います。実際に、前職よりも働く時間は減りましたが、収入は増え続けています。

100年ライフを楽しむために、健康で長く働くことも必要になります。週休が一日増えれば、運動をする時間も増えますし、精神的にサポートしてくれる家族との時間も増えるでしょう。

週休3日が当たり前になる社会をつくる――これが私の大きな目標です。そのためにも、自分が実践する働き方を広めたいと思っていますし、様々な企業の働き方改革のお手伝いをしていきたいと思います。

皆さんもぜひ、もう一日の休みを作ることを目標に……それが難しければ、週の労働時間の10分の1を減らすことを目標に、ご自身なりの働き方改革に取り組んでみてください。

まずは二週間ごとに15分、「振り返りの時間」をカレンダーの予定に入れてみてください。意識が変わるのを待つのではなく、すぐに行動を変えてしまうのです。最初のうちは、どこかにしわ寄せが来るかもしれませんが、それを努力とアイディアで少しずつ克服していく。

この小さなトライアンドエラーの積み重ねこそが、変化への対応力をつける「真の働き方改革」なのです。